強制送還


「東京ローズ」は、1956(昭和31)年1月28日にウェスト・バージニア州にある連邦刑務所から釈放されたが、あのABCニュースのウォルター・ウィンチェルが白人優越主義の悪霊のように付きまとい、アイヴァに関して悪意に満ちた嘘を流し続けており、彼女は刑務所の門を出るやいなや、米法務省から「日本へ強制送還をする」との通告を手渡される。

強制送還を取り下げさせる裁判には勝ち、彼女は母国に留まった。

彼女は「アメリカ人」ではなかったのか。

アメリカ人だったので、「国賊」の裁判にかけられたのだ。刑が終わると、「日本人」として母国アメリカから追放されるのか。

それだけではない。

1万ドルの罰金も支払えと迫られる。

この罰金は、日本からの移民であった彼女の父親が亡くなった1972(昭和47)年に、彼女の遺産を金に換えて、連邦政府に支払われた。

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国賊から恩赦へ


東京ローズは、まだ、終わりではない。

生き埋めにされていた無罪の信念は正義を求め、40年間窒息しそうな屈辱に耐えていた。そして、最後には正義が勝つというおとぎ話のような奇跡が起こった。

戦争中アリゾナの収容所に送られていたアイヴァの父親(母親はアリゾナへ輸送されている間に死亡)と日系アメリカ人たちが真実を追究し続けた結果、1977(昭和52)年1月19日、フォード大統領が陳謝の意を込めて、彼女に恩赦を与えた。この恩赦もアメリカ史上、初めての出来事である。

「国賊」が恩赦になったのは、アイヴァが初めてだ。

アメリカの人種差別の残酷さを見せつけた悲劇である。

教訓になるのだろうか。