CIE局長、マスコミを叱る

マッカーサーは、10月4日の指令によって、日本のマスコミが劇的に「変身」することを期待していたが、日本の報道機関は長い「禁欲」のために、「自由」の悦びをどう受けとめてよいのか解らず、うろたえた。


東京・内幸町(うちさいわいちょう)の東京放送会館に陣取ったGHQ・CIE(民間情報教育局)の初代局長ケン・ダイク准将(じゅんしょう)は、10月24日、日本の主要新聞の編集責任者とNHKの首脳陣を呼びつけ、「自由で独立した報道機関を樹立する責任を果たせぬのなら、できる者たちに道を開けろ」と命令した。



東京放送会館

記事110 東京放送会館.jpg

アメリカではメジャー・リーグの実況放送をしていたダイク准将は、日本の報道機関が、マッカーサーによる10月4日の言論の自
由に関する指令を「意識的に無視し、お粗末でおざなりのコメントしか行なっていないし、また、マッカーサー指令の歴史的重要性について、国民に何の説明もしていない」と叱責した。

「マッカーサー指令は、共産主義の弾圧を目的としたものでは断じてない。最近釈放された政治犯の多くが共産主義者であることが、このことを判然(はっ きり)と証明しているではないか」


GHQの望む報道の姿


ダイク准将の叱責はまだ終わらない。

「戦争犯罪人に関する全面的かつ率直な論議が行なわれていない」「天皇制の 改革を主張する論文や投書が新聞には意図的に掲載されない、と多くの苦情が 民間情報教育局に寄せられている」

それでも、ダイクは最後に、「GHQは日本の報道機関のあるべき姿の青写真を押しつけることは望んでいない」と言っている。

しかし、GHQは既に1カ月前から日本の報道機関に対して、プレス・コードを適用して検閲を始めており、「あるべき姿の青写真」を焼き付けるのに懸命であった。

民間情報教育局の広報担当者、ドン・ブラウンは「我々は毎日、日本の新聞記者たちと会議し、1週間に1度は新聞、雑誌の編集長と会って、ジャーナリズムの向上について話し合っている」と述べた。

ブラウンは、国務省に所属していた。『ジャパン・アドヴァイザー』紙の編集を担当して、日本滞在が永かった。