ドノバン・メモ


「この勅語は、極度の西欧化に対する恐怖感から生まれたものである。......百三十語の漢字からなる勅語は日本民族主義のマグナ・カルタ(大憲章)であり、軍国主義者や超国粋主義者の行動や理論の源になったものである」。


177.jpgマグナ・カルタに署名する英国王の様子


勅語で強調されている「忠君」と「親孝行」について、

「これらは西欧で理解されているようなものではなく、封建的な概念であり、四十七浪士の盲目的な忠誠であり、この忠誠の下、全ての罪悪は許された。また、親子の愛については天皇崇拝の宗教に結びつき、愛国主義の宗教を作り上げた。教育勅語が日本帝国の教育の源だとすると、一体全体、〝日本の教育哲学〟とはなんだと問い返さざるを得ない。真実を追究する精神が入り込む余地が一体どこにあると言うのだろうか」

「より直接的な危険は〝一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし〟という言葉の中にある」

「日本人の道徳・倫理の目的は皇室の繁栄のためにだけある」

と強い非難を浴びせた。

「これは、新憲法の精神である一個人の権利という考え方と完全に食い違うものだ」。


教育部の思案


二度に亘って、彼女は政治顧問事務室(POLAD)の法律顧問トーマス・ブレイクモアに相談した。彼は、「教育勅語は厳密な意味では法律ではなく、天皇の個人的宣言なので、新憲法が発令されても自動的には消滅しないものだ」と言った。

これはGHQが教育勅語を禁止しなければならないことを意味していた。

教育部は、京都のシーフェリン司令官が9カ月前、ケン・ダイク局長へ送ってきた草案を持っていた。

教育部は、これを「京都勅語」と呼んでおり、それをドノバンは「優れた文書だし、我々の慎重な検討に値するが、最良の策は教育勅語などなくすことだ」と言った。

「もし9カ月前に、我々が教育勅語を廃止しておけば新しい勅語の必要もなかったろう」

「だが、田中の面子は新しい勅語の発布で救われる」

「何よりも大切なのは、田中が古い勅語を認めていることがそのままマッカーサーの政策だと思われてはならないことだ」。