省規の強制変更


GHQ・CIEは、文部省が民主主義を理解しようともしていないと疑い、10月13日に前田文相と文部次官たちを呼び付けて、「文部省省規変更に関して」と題された命令を突き付けた。

「最も緊急なことは日本を再建して、平和的で文化的な国家に変えることである。この目的のために、文部省省規を徹底的に変える」。

 (1)初等・中等教育を改革する。

 (2)教科書を書き替える。

 (3)日本人の道徳観を養い、日本文化を改善する。

 (4)「修身」を教えた教学局を廃止する。盲目的な忠誠心を説いたからである。

 (5)国粋主義を鼓舞した全ての研究所等を廃止する。

 (6)教師たちに民主主義の信念を植えつける。

 (7)文部省を六つの局に分け権限分化と民主化を進める。

これらの要求は前田文相を落胆させた。僅か一カ月前、自分自身が書き上げた「新教育方針」にGHQ・CIEが満足していると思っていたのだ。

CIEは、前田には隠された意図(天皇大権の温存)があると疑いを持っていたので、彼の政策を完全に無視した。


「日本教育制度に対する管理政策」


日本側の努力に満足しなかったマッカーサーは、10月22日、教育指令第一号「日本教育制度に対する管理政策」を出し、議会政治、国際平和、個人の権威、思想、集会、言論、宗教の自由などの基本人権の思想に沿って教育を改定せよと命令した。

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マッカーサーは、重要な心理作戦も忘れはしなかった。

学生や教師たち、そして全国民は、

「軍国的指導者、ソノ積極的協力者ノ演ジタル役割並ニ消極的黙認ニヨリ日本国民ヲ戦争ニ陥レ、不可避的ナル敗北ト困窮ト現在ノ悲惨ナル状態トヲ結果セシメタル者ノ演ジタル役割」

を十二分に知らされることになった。

この原案を書いたCIEのロバート・キング・ホール中尉はダイク局長に、

「占領が進むにつれ、予期せぬ事態が起こってくると思い、その時に、我々が自由に動けるように、意図的に曖昧にしておきました」

と説明している。