南原繁の大演説



喜んだマックス・W・ビショップは、バーンズ国務長官に

「南原博士は最近キリスト教の講座を東京帝大に設ける提案をしました」「南原演説はいま訪日中のアメリカ教育使節団から〝勇気があり、優れた、そして前向き〟の考えとして賞讃されています」

と報告している。

南原は、日本教育を激変させた米国教育使節団と協力した「日本側教育家の委員会」の委員長を務めた。

当時、紙不足は危機的であったにもかかわらず、彼の演説はGHQにより小冊子に印刷され、広く配布された。

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日本人のキリスト教信者には、マッカーサーが第二のイエス・キリストのようにさえ映っており、キリスト教が、元帥の言う「世界の進歩した精神」であり、この精神が「戦犯日本」を救うのであった。


キリスト教講座設立の提案


南原総長は、キリスト教講座を東京大学に設立する提案をした。

ビショップがバーンズ長官に送った報告書には、

「この講座ができれば、日本の国立大学では初めてのものになります。東京帝大にはすでに神道、仏教に関する講座はありましたが、このキリスト教講座は、公的施設の中に宗教の自由を確立するうえで極めて重要なことであります」

「この講座は、日本のクリスチャンの熱烈な祈りであり希望でもあり、多数の優れたクリスチャン学生が大学教育を受け、国際平和に大きく寄与するでありましょう」

とある。

ビショップは、東京帝大にキリスト教講座を設置させるよう奔走した。


憂鬱な文部省


しかし、国立大学では既に、神道、仏教の講座は全て廃止されており、文部省も今になってキリスト教講座を設置する気はなかった。

南原はこういう事情を心得たうえで、GHQ政治顧問事務室で

「提案している講座はかつての神道講座に代わるものではなく、完全に独立した独自のものである」

と説明した。

彼の説明は、彼の誠実さを疑わせるものではないが、彼はキリスト教の宣教師と自負していたマッカーサー、GHQ、アメリカ政府に諂っていたのか。