教科書改定への流れ



日本帝国政府もマッカーサーも、緊急に国定教科書を改訂する必要があると十分認識していた。

1945年9月15日、日本占領が始まって2週間もしないうち、マッカーサーは、日本政府が民主主義より大切であると考えていた「国体」と「神道」を抹殺する指令を出した。

5日後、文部省は、教科書は今あるものを使ってもよいが、戦闘的な思想や文章は削除しなければならない、と全国の学校に通報した。しかし、「国体の護持」が大切であることには変わりないと言った。


神道も削除


CIEダイク局長は、教科書を書き替え、「神道」も学校から完全に締め出さなければならないと記者会見で強調した。同時に、注目に値するダイク発言がある。

「神話が歴史としてでなく神話として取り扱われている限り別に差支えない」

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ダイクの考えは、『アメリカの鏡・日本』を書いたミアーズと同じである。彼女は、「神話は長い歴史を経て完成した日本文明の象徴にすぎない」と言い、日本歴史における神話の大切さを強調した。

日本側(文部省)が神話を教科書から塗り消したのだ。


「進歩的」知識人の台頭


ダイクは、日本人の過剰な従順さに驚いたことであろう。

9月30日、CIEが設立され、わずか1週間後には、教育部のホール中尉が「修身」教科書の検査を始めた。「日本史」と「地理」も検査の対象になった。

アチソン政治顧問も、GHQが「進歩的」と見做している歴史学者たちとの対談をバーンズ国務長官に報告している。

「彼等は、歴史の国粋主義的な解釈を正し、日本の社会的、政治的発展を正確に説明する材料を出版したい、と熱意を示しております」

「彼等は、アメリカの学者たちと交流し、文献や調査資料を手に入れたいと希望しております」

「これらの歴史家たちは、日本の大学内にいる〝反動的教授〟の名を挙げて、特に法学部にはリベラルな教授はいないと断言しております」

日本の代表的な法律学者たちに支えられ設立されたばかりの「松本憲法問題調査委員会」は、歴史家たちの主張を裏付けた。