責任転嫁


「日本は価値ある国民的文化の認識を持つべきだ」と教育使節団が勧告したので、文部省はこの自覚こそ敗戦国日本を救う特効薬と期待をかけた。

しかし、文部省は、「価値ある認識」を喪失したのは日本国民の責任だと言った。

「日本国民は合理的精神が低い」とまで言う。文部省の台詞は、「日本は西欧諸国より400年は遅れている」と断言したマッカーサーを喜ばせたことだろう。


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『新教育指針』


文部省の赤裸々な告白は、『新教育指針』と題を付けられ、初等・中学校教師用として、1946年5月15日に刊行された。教育使節団が日本を離れて、僅か2カ月で書かれたものである。

初代CIE局長ダイク准将は、「本書は、日本の教師を再教育するための研究努力を具体的に表わしたものである」と前書きで断言した。

CIEが文部省の原稿を何度も書き直させたからだ。

文部省は、分厚い『新教育指針』を中学校、女学校、青年学校の教師にも配分し、1946年から47年にかけ、甚だしい紙不足の時、『新教育指針』を43万6020部印刷した。



絶対的教科書


文部省は、その端書きに「本省は、ここに盛られている内容を教育者におしつけようとするものではない」「したがって教育者はこれを教科書としておぼえこむ必要もなく、また生徒に教科書として教える必要もない」と言った。

『新教育指針』は文部省が書き、CIE局長が正式に認可している。日本の教師たちは、これを教科書として丸暗記し、生徒に教えた方がよいと悟ったのは当然であろう。

ダイク局長は、日本の教師たちの直感を確認するかのごとく、『新教育指針』は「日本の現状を物語る基本的事実を明確な形で教師たちに与えたものであり、学んでおくべきであった教訓を指示するものだ」と述べている。