批判的精神の乏しさ


(3)「日本国民は批判的精神にとぼしく権威に盲従しやすい」

文部省がマッカーサー指令に忠実に服従することによって、教師たちに範を垂れることである。

「上の者が下の者を愛してよく指導し、下の者が上の者を尊敬してよく奉仕することは、日本国民の長所であり、忠義や孝行の美徳はここに成り立つ」

皮肉なことに、文部省は「忠義や孝行の美徳」が過去に齎した恐怖を肌身で知っていたからこそ、「役人はえらいもの、民衆はおろかなもの」という「官尊民卑」の考えを攻撃した。

同様に戒められているのは、政府が言論や思想の自由を無視し、拷問や秘密警察を用いることであった。こうした権力の濫用は、国民から「政治を批判する力」を奪い取り、国民を「お上」の命令に従わせたのであった。



権威への盲従


(4)「日本国民は、合理的精神にとぼしく科学的水準が低い」

この原始的国民が、なぜか第二次世界大戦中の最強の戦闘機であった「零戦」を生産し、世界最大級の戦艦二隻を建造した。

文部省は、ユーモラスなところを見せようとしたのではない。真面目一本の文部省は、「権威に盲従しやすい国民」は「物事を道理に合わせて考える力」が弱い、と述べている。

科学的精神の乏しさの証拠として、

「神が国土や山川草木を生んだとか、おろちの尾から剣が出たとか、神風が吹いて敵軍を滅ぼしたとかの神話や伝説が、あたかも歴史的事実であるかのように記されていたのに、生徒はそれを疑うことなく、その真相や意味をきわめようともしなかった」

と臆面もなく述べているのだ。

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『日本略史 素戔嗚尊』に描かれたヤマタノオロチ