重大な懸念


巨額の思いやり賽銭が果てしなく増えることを期待していた米政府(クリントン大統領)が怒った。「1円たりとも削ってはならぬ」「思いやり予算という言葉も気にくわない」と大騒動である。

米国議会と国防総省、そしてハーバード大学ケネディ・スクールの学長ジョセフ・ナイ(元国防次官)までが「支援を減らすとは」と激怒していた。米政府は、危険極まりないアジアで無防備の日本を守っていると信じているので怒っている。

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在日米軍に必要な経費を削減するのは、日本の自殺行為と思っている。米国アジア戦略にも支障をきたすと見ている。「日本よ、感謝の気持ちを金額で示せ」と怒っている。75億円削減ではなく30億円だけ削らせていただきますとお願いし、米政府の理解を得た(『朝日新聞』2000年7月19日付)。

アメリカの戦争であるアフガン戦争の復興に日本が多額の金を出資することは、日米間ですでに了解済みである。日本は、第二次湾岸・イラク戦争にも莫大な金を使わせられている。日本が「人道的支援」の名目で、米国世界制覇の速度と領土拡大に貢献する。アメリカが強くなればなるほど、日本が弱くなる。


大帝国の落日


歴史の不変の鉄則に従い、帝国の興亡の歯車がゆっくりと回り、アメリカ大帝国が落日を見る時が来る。その歯車に絡まっている日本も一緒に引きずり込まれ、寂しい終焉を迎えることになる。

日本独自の生き様をしてこなかった我々は、誰を責めることもできず、他国に己の命を託した無謀と勇気のなさを後悔しつつ、歴史から消えてゆくのだろう。

アメリカは日本から多額の金を取り上げても、まだ足りないと思っている。この横柄な態度は「日本に世界一裕福な米国市場でモノを売らせてやり、金を沢山儲けさせてやっている」と認識しているからだ。日本から貢ぎ物が減るのに我慢ができない。


米市場の内情


日本は「ドル高・円安」で日本製品を米国市場で安く売り、麻痺状態の不況から脱出をしようとするいつもの「輸出ベッタリ」手法であるが、アメリカにも活発な製造業者が大勢いて、彼らも米製品を世界市場で売りたい。

ドルが安くなれば、米国製も海外でもっと売れる。日本の製造業者ばかりに市場を取られてはたまらないとホワイト・ハウスに苦情をぶつける。事実、永い間対日貿易でアメリカが儲かった年はない。

しかし、この「儲かった年はない」は、日本だけのせいではない。アメリカの消費者が収入以上にモノを買うので赤字なのだ。アメリカの対外貿易赤字は年間46兆円で、米国内総生産(DGP)の20%もある。アメリカの製造業や大規模の農産物企業が海外で売りたいと焦っているのは、この恐ろしい借金があるからだ。

日本にとって、アメリカが1番大切な市場である。

アメリカにとって、カナダとメキシコの次に日本が大切な市場である。




西鋭夫著『日米魂力戦』

第4章「国の意識」の違い -13