米国の独壇場


1945年の安保理設立から2003年までに、拒否権が発動されたのは、253回である。ソ連(ロシア)1国で121回も拒否権を使った。

ロシアは滞納国だが、大きな態度で発言をする。

現在、米国が圧倒的に強く、自国の意志を傍若無人に通しても対抗できる国は存在しないので、国連とか安保理のような「話し合いの場」が役に立たなくなってきた。

公の対話の場がなくなることは、世界の危機につながる。第二次世界大戦が「全地球」を巻き込んだ大惨事になったのは、第一次大戦の直後に設立された「国際連盟」が機能を果たせず、ドイツ、米国、日本、イタリア、英国、フランス等が好き勝手に武力行動を始めたからだ。そして、この「連盟」はいとも簡単に崩れ去った。


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国連安保理の議場


米国の危機


アメリカ一国で処理できない事件は必ず起きる。アメリカの武力と財力だけでは解決できない問題が起こり、アメリカを危機的に消耗させる事変が起こる。ベトナム、イラン、コソボ、ニューヨーク、アフガニスタン、イラク、北朝鮮と過去30年間を振り返って見ただけでも、アメリカにとって危機の連続である。

これからの30年間は、核兵器による恐怖の連続であろう。その時、国際的な話し合いの場がないと、アメリカの危機、すなわち世界の危機となる。このような予測をしても、自信過剰のアメリカで耳を傾ける人は少ない。いない。

安保理は15ヵ国で編成されている。第二次世界大戦の戦勝5ヵ国(ロシア、米国、フランス、イギリス、中国)が拒否権を持っている。中国(大陸)は1971年10月、米政府(ニクソン政権)が常任理事国であった台湾を捨てて、中国に鞍替えをしたので、常任理事国になれたのだ。

10ヵ国は総会で選出され、2ヵ年の期限つきで安保理の審議に参加できる。もちろん、拒否権はない。日本も総会で選出され、すでに8回「臨時メンバー国」として安保理に参列した。


口出しできない日本


巨額のお金を出して国連を支えている日本は、当然、拒否権を持った常任理事国になりたい。なるべきだが、ならして貰えない。常任国の国名を見ただけでも、なぜなれないかが分かる。

国連へ高額の「税金」を支払わされているにもかかわらず、「日本、口を出すな」の光景だ。アメリカの独立戦争は、植民地の米住民が高い税金を取られていたのに、ロンドンの英議会に代表を送らせてもらえなかったことが理由になり、ボストン港で暴動が起こり、歴史に残る戦争になったのだ。「金を出して、口を出すな」は、反乱の正当な理由になる。



西鋭夫著『日米魂力戦』

第4章「国の意識」の違い -26