なぜ他国の軍事基地があるのか


私が「在日米軍は、マッカーサーが引き連れてきた進駐軍がそのまま居残っているのだ」と前置きをして、「日本は独立国なので、自分で国を守る義務を遂行すべきである」と説明したら、彼は「進駐軍とは何事ぞ。そんな言葉を使うこと自体が間違いだ。あたかもアメリカが今でも日本を占領しているような表現ではないか」と大声で怒り出した。手に持っていたフォークを皿の上に投げるように落とした。

声の大きさでは引けを取らない私は、「サンフランシスコの近郊に、他国の軍事基地があるのか。中国やロシアやイギリスの基地があるのか。中国に、米軍基地があるのか。日本列島の北から沖縄まで米軍基地である。日本が自国で防衛をするのは日本人の誇りの問題である。反米、嫌米ではない」と言い返した。怒鳴っていたかもしれない。


核兵器も持つのか


「日本は核兵器も持つのか」と攻めてきた。「核兵器」というと日本人はひるむのではないかと期待している。

「日本は、凶暴な近隣諸国から攻撃をされない位の装備を持つべきである。核を保有している隣国が日本を攻撃すれば、返り討ちに遭うと認識をさせるぐらいの武力を持つべきである」とたたきつけるように言うと、彼が「日本は核兵器を持たなければならないのか」と問いつめてきた。彼は、私に「日本、核を保有する」と言わせたいのだ。

「危険なアジアで無防備なのは日本だけだ。あなたが日本の立場に立つと、核兵器を持つと言う。核兵器はこれ以上拡散してはいけないと主張するアメリカは、なぜ2万発も保有しているのか。ロシアも2万発。発展途上国のインドやパキスタンさえも核保有。中国や北朝鮮も核保有。あなたは、日本を素っ裸のままにしておきたいのであろう。世界で核兵器を実際に使ったのはアメリカだ。あなたはそれを意識的に無視しようとしているのであろう」と答えた。


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お殿様と一兵卒


私と同年輩の編集長は愛想がつきたかのように頭を横に振り、悪い日本人に会ってしまった、だから「日本の防衛力増強」に反対なのだという暗い表情で、お互いに気まずい気持ちのまま昼食を早々と食べて別れた。

日本に武力を持たせると、必ず悪いことをすると思っている米国民は驚くほど多い。日本の防衛力増強とは、米軍の指揮下で言われる通りに動く日本人部隊のことである。アメリカは自分がお殿様で、日本が足軽であれば、増強賛成である。

ニューポートの元軍人・教頭は、「日本の防衛にアメリカの税金を使うのはもういい加減にして欲しいねェ」と、私の目を見ながら言った。「在日米軍基地経費の90%は、私たち日本人の税金で支払ってんです」と、私も真顔で答えた。

「日本ただ乗り」と思っていた教頭と体育部長は驚きをあらわにした。日本国民が「在日米軍の総経費の90%」も出し、米軍に「国防」をしてもらうという日本人の精神状態が理解できなく、動揺を隠しきれなかったのだ。相当興奮したのか、白い顔がパーッとピンクになった。

私は恥ずかしかった。恥を感じるのは「誇り」があるからだ。日本は誇りを捨てた恥の生活をしている、すでに60年間も。



西鋭夫著『日米魂力戦』

第4章「国の意識」の違い -41