軍人養成プログラム


平成日本では想像もつかないROTCについて、短く記述する。

米陸・空・海軍及び海兵隊が、それぞれROTCの科目を全米の大学に持っている。日本人が知っている有名校にもROTCがある。1916年に設立された陸軍のROTCを例にとると、陸軍全将校の75%がROTCを受けた者たちである。


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イラク戦争と北朝鮮の核保有問題で才腕を振るっている陸軍大将コーリン・パウエル国務長官も、ROTCの恩恵を受けた1人である。大学の4年間、授業料と諸経費を最高1200万円まで支給され、さらに書籍代と毎月400ドルの自由に使えるお金が貰える。卒業したら二ヵ年陸軍に入隊するか、予備軍に在籍する。日本の防衛大学校の縮小版が全米の大学に存在している。道理で米国は強い。

軍人がいかに尊敬されているかは、士官学校に入学できる難度で分かる。陸・海・空軍士官学校には、心身共に抜群の若者(男女)でなければ合格できない。受験者の出身州の上院議員二名からの推薦状が必要であり、全科目の学力試験だけではなく、厳しい体力検査がある。難関のハーバードやスタンフォードに入るよりも難しい。第9条で有名な日本国憲法を書いたマッカーサー元帥は、陸軍士官学校の歴史に残る優等生だった。


世界の警察官


もう1つアメリカの常識。

第2次世界大戦が終結した1945年の夏から、米国の武力が世界の警察力である。「米国は世界の警察官になってはいけない」と反対する米国民もいるが、その反対自体が現実を認識している。日本で米国の圧倒的な武力が良いか悪いかを議論しても、何も変わることなく、巨大な経済力に支えられた米軍事力が世界の秩序を維持している。

日本は、在日米軍に守ってもらっている。米軍がいやなら、戦火絶え間なしのアジアで「無防備は平和」という神話に国民の生命を賭けるか。日本は日本人が守るべきではないのか。


日本の奇跡


1950年代、60年代、70年代、80年代、日本国民は努力と才能と犠牲を集結し奇跡的とまで評価された経済発展をもたらした。日本人が忘れがちなことであるが、世界中で大活躍をしている日本の経済活動に寄り添っていたのは米国の武力である。

日本の金儲けにとっても、米国の威信にとっても、この「同棲」は好都合であった。1980年代になって、日米の上下関係が崩れだした。米国から見て、日本が金持ちになりすぎた。

1980年代、理性を麻痺させるようなバブル経済黄金病に全身を冒された日本人は、世界を買い占めることができると信じ、金に糸目をつけず、米国の有名ブランドのホテル、建築物、ゴルフコース、ハリウッド、またヨーロッパのお城までをも買い漁った。

日本人は札束の切れ味に頼り、諸外国を「日本円」の植民地にできるのではないかと夢を見ていた。「にわか成金が」とあちこちから軽蔑されると同時に、反感と嫉妬と羨望をも買った。せめてアジア全土を日本円の経済圏にすれば良かったのに。



西鋭夫著『日米魂力戦』

第5章 戦争と平成日本 -7