テロとの戦い


米政府が恐怖に近い警戒心を抱いていることは、パキスタンのシンパが核爆弾をアルカイーダに売るのではないかという可能性だ。アルカイーダが核一発でも手に入れれば、世界の地図が劇変する。米国はパキスタンを攻撃することになる。さらに、飢えと被害妄想に駆られている北朝鮮が、アルカイーダに核兵器(原爆とテポドン)を売るかもしれない。

第二次湾岸・イラク戦争は、3週間で米国の勝利に終わった。だが、この戦争の予期しなかった余波が中東でのゲリラ戦拡大だけではなく、ひたひたとアジア全土にまで広がり、世界最多のイスラム教徒を抱えているインドネシアやマレーシアで武装テロを発生させ、アジアを前線のない戦場にしてゆく可能性を高めた。

世界の秩序が乱れ、討論会と見下されている国連・安保理が何もできず、世界経済が崩壊寸前にまで追い込まれてゆく。大きな戦争は自然淘汰の役割を果たすかのように、時のうねりに溺れてゆく国々を歴史から消してゆく。国の興亡は適者生存の戦いの歴史である。


米国民誘拐事件


フィリピン(80%がカトリック教徒)のミンダナオ島では、イスラム教徒が過去30年間もゲリラ活動を繰り広げており、一般市民が戦火に巻き込まれ、その戦死者総数は二〇万人と推定されている。フィリピンは日本に近い。日本との付き合いも永い国である。

ミンダナオ島でイスラム原理・ゲリラが米市民を誘拐し、殺害した。2001年7月、ゲリラが米国人の首を切断し、米国民に衝撃を与えた。米宣教師夫妻も人質にされ、丸一年間深い熱帯雨林を引きずり回されていた。

2002年6月7日、フィリピン軍の救出隊がゲリラを追いつめ銃撃戦になったが、ゲリラは宣教師の夫とフィリピン人看護婦を処刑するかのごとく撃ち殺して、逃げた。宣教師の妻は脚に7発の弾を受けたが生き残った。この夫妻には、十代の子供が3人おり、本国アメリカで両親の無事生還を待ち望んでいた。


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米海兵隊(1750名)がミンダナオ島(60年前の日米戦争の激戦地)に上陸し、イスラム教徒ゲリラを壊滅させる行動に出た。米政府はフィリピン・ゲリラと極悪のアルカイーダは結びついていると断言しているが、本当の理由はもっと自然で純粋である。自国民に対する残酷な暴挙を許すアメリカではない。国家の威信がかかっていると捉えているので、報復する。



西鋭夫著『日米魂力戦』

第5章 戦争と平成日本 -35