関係各国の利害


不思議に、北朝鮮の核保有とミサイル発射事件に関して中国は何も言わない。日本市場で多額の利益を上げているにもかかわらず、何もしない。米国市場で莫大な利益を上げている中国は、米国民の「北朝鮮問題」での苦悩を「米国の自業自得だ」と楽しんでいるかのようだ。

米政府は北朝鮮の最大支援国である中国に北朝鮮の核武装を解いて貰いたいのだが、中国がその見返りに「台湾をくれるか」と弱みにつけ込んでくるのではないかと懸念し、動きが取れない状態である。

金正日総書記は、日本と米国の支援なしでは北朝鮮経済の再建は不可能と自覚している。それ故、米政府に「1994年の約束を破り核兵器を製造したのか」と問いつめられた時、「そうだ」と答え、同時に日本人拉致を認め謝罪すれば、日米が共同して厖大な支援を与えてくれ、さらに黄金の日米市場経済に参加させて貰えると策を練ったのだ。


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小泉訪朝


2002年9月17日、日本の首相として初めて北朝鮮を訪問した小泉首相は、「8人死亡」を知りながら金正日と会って3時間何を話したのだろうか。「日朝平壌宣言」が発表されたが、空しさが響く。平壌宣言には「拉致問題」が入っていない。拉致家族会は、日本政府(外務省)が総力を挙げて人質奪回に努力をしていないと判断したのか、日本政府に「力」がないと見たのか、アメリカに直訴した。

さらに、ジュネーブで開かれていた国連人権委員会で拉致の非情を訴えた。この委員会で「北朝鮮非難決議」(2003年4月16日)が賛成28カ国、反対10カ国(これらの国々は日本からODAの金を貰っている)、棄権14カ国、で採択された。この決議に強制力はないが、日本人拉致が世界の注目を集めたことに意義がある。近隣国ロシアと中国は反対した。両国は、国連人権委員会で絶えず非難決議案の対象になっている国である。韓国は意図的に欠席した(『産経新聞』2003年4月27日付)。


「平壌宣言」の形骸化


この宣言の中で、北朝鮮はテポドン発射を中止すると約束したが、すでに発射を数回行い「平壤宣言」の無効を証明した。北朝鮮を無視しているような態度を示している米国の注意を引くために、「北朝鮮は危ないのだぞ」と宣伝をしているのだろう。そのために日本が使われている。

さらに「平壤宣言」の中で北朝鮮の核問題(核兵器)は、北朝鮮が国際的合意を尊重しながら解決に努力すると書いてある。小泉首相は米政府から「北朝鮮は核爆弾をすでに2、3発保有している」と教えられていたにもかかわらず、この押しの弱さである。



西鋭夫著『日米魂力戦』

第5章 戦争と平成日本 -37