文化優越主義の大罪


欧米はアジア大陸、アフリカ大陸、南アメリカ大陸、オーストラリア、そして七つの海に浮かんでいるすべての島々を、武力と人種差別に満ちた「文化優越感」で支配し、植民地の住民たちに過酷な生活を強いた。二〇〇年、三〇〇年、四〇〇年間も。だが、それら欧米諸国からの謝罪は未だに一度もない。

明治日本は海岸線(国境)を守るため、愛する人の命と国の誇りを守るため、富国強兵に国運を賭け、「欧米の植民地にされるのではないか」という恐怖と戦わなければならなかった。生き残るため、明治日本にとっての選択は富国強兵しかなかったのである。


明治に対する憧憬


富める平成の日本人は、貧しかった明治に憧れに似た感情を持っている。明治の生き様の中に私たちが体験したこともない勇気と行動力を見ることができるからであろう。彼らの行動力が織りなした栄光と挫折、誇りと屈辱、夢とロマンが国の歴史を形成してゆき、美しいことばかりではなかったが、あの行動力には国の命を守り、日本の存在を世界に認識させようとする自尊心があった。

その明治に憧れる私たちは今、何を「心のより所」としてよいのかも分からず、それを探求しようともしない。私たちは信念も勇気もない、金を貯めただけの群衆なのだろうか。日本は世界第二の経済大国と自負し得るほどの金持ちにはなったが、新しい文化を創っているのか。

「奈良」「京都」「武士」「歌舞伎」「浮世絵」「茶の湯」を、日本文化の代表作品として海外で宣伝している平成日本は、平成の遺産として次の世代に何を伝えるのだろう。


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大政奉還の図


「アメリカン・ドリーム」


日本の若者はアメリカ文化に夢中である。「アメリカン・ドリーム」とまで口にする。アメリカには自分たちの夢と野望を試す機会と、心ときめく自由があり、可能性に賭けたならば成功するチャンスがあると思っている。このアメリカが大きなうねりとなって太平洋を渡り、日本列島を襲い、若者たちの心までを奪いつつある。

可能性に賭ける日本の若者たちは、アメリカの国技である野球、メジャーリーグで劇的な活躍をし、アメリカ全土に、そして日本全土にも大きな感動を与えている。野茂英雄投手が偉大なる先駆者で、彼に続く日本人選手たちは重苦しい空気に包まれている日本に明るいロマンをもたらし、愛国心の健全な発露の場を作ってくれている。



西鋭夫著『日米魂力戦』

おわりに -2