愛国心が根付く国


現在のアメリカ社会内部に数々の重大な問題があるのは、日本の人々もよく認識していることである。

だが、今でもアメリカが世界中で移民の一番多い国であり、他国から移民したいと望んでいる人々の間で第一希望国となっていることは、アメリカを評価する際、見逃してはいけない事実である。それはアメリカでは、人間にとって単純かつ純粋な理想である「自由、平等、正義、Liberty, Equality and Justice for All」という、民主主義社会において最も大切な根本思想が、日常生活および学校教育の中に深く根を下ろしているからであろう。

そのうえ、「国を愛する心」すなわち「愛国心」の表明は、アメリカの一般家庭だけでなく、学校教育でも小学校一年生の時から頭の中へ叩き込まれている。あどけない小学生たちは教室の中に掲げてあるアメリカ国旗に忠誠を誓う。スポーツ大会では、競技が始まる直前に、全観客が誇りを持って国歌を歌っている。


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「Patriotism(愛国心)」を大切にはぐくんでいくアメリカは、イラク軍のクウェート侵略を、アメリカの国益を脅かすものと明確にとらえ、アメリカ全土を挙げての国益防護となったのだ。イラク軍のスカッド・ミサイルを撃ち落としたアメリカ軍のパトリオット・ミサイルは、国家の危機を救った「愛国者」という意味だ。まさに完璧な名前であった。


フェア・プレイのできる国


また、アメリカ人の会話の中でよく使われる言葉がある。「Fair(フェア)」という単語だ。アメリカ人が神経質的に重視するフェア・プレイのフェアである。真実と正義に基づいて「公平かどうか」ということだ。

1941年12月の日本のハワイ真珠湾攻撃は「フェアでない」の最たるものであり、その感情の延長で、日本の貿易政策はフェアでないとアメリカは信じている。

フセインの暴挙はもちろんフェアでなく、また日本の右往左往も、フェア・シェア(fair share, 公平な相互分担)を期待していたアメリカにとっては、思ってもみなかったショックだったのだ。

すでに日米貿易戦で日本はフェア・プレイをしないと思っているアメリカは、この湾岸戦争で日本は本当にフェア・プレイをしない国、できない国、そしてそれをわかっていない国と断定したので、今までになく厳しい態度で日本に迫ってきている。


西鋭夫著『富国弱民ニッポン』

第1章 富国日本の現状−9