blog93.jpgFrom:岡崎 匡史
研究室より

「明治」「大正」「昭和」「平成」

「命禄」「大道」「延寿」「征露」

上記の年号の違いは、どこにあるのでしょうか?

それは、国家が公式に定めた「元号」と「私年号」の違いです。

2019年4月1日に「新元号」が発表される方針ですが、今回は、忘れ去られた「私年号」の歴史について触れたいと思います。

私年号とは?


「私年号」は、日本全体で使われたのではなく、日本の一部地域で、ごく短い期間に使用されました。とくに、日本の世が荒れた、南北朝〜室町〜戦国時代にかけて、「私年号」が歴史上に登場してくる。

なぜか?

それは、武士階級が「公年号」(元号)の使用に対して反感を持ったり、民衆が災害や戦乱から逃れようとする願いが「私年号」に投影されたからです。「私年号」には、当時の政治の実態や民衆の渇望が反映されている。

では、なぜ、元号をわざわざ変えようとするのか?

元号には、世の中を心機一転させ、治世を立て直す効果があると信じられてきたからです。荒廃した人心を統合して、世の中を治めることができるのだと。

私年号と時代精神


「私年号」と時代背景が、どのように結びついているのか、具体例をあげてみていきましょう。


「命禄」・・・室町時代の農民は、度重なる天災に苦しんでいた。台風や水害で田畑は荒れ、飢えに苦しむ。飢饉にあえぐ農民の救済を願う気持ちが「命禄」という私年号を生み出した。

「延寿」・・・徳川幕府の永続・延命の願望が込めらた私年号。徳川幕府の「寿命を延ばす」という希望が託されており、明治維新で旧幕府軍に味方した奥羽地方で発祥したとされている。

「征露」・・・文字通り「露国を征伐する」という意味。日露戦争に勝利した日本国民の喜びを象徴した私年号。明治37年を「征露元年」として使われたようです。


日本で使われた他の「私年号」には、次のような例があります。


「秦平」「天靖」「福徳」「永喜」「宝寿」「保寿」「永伝」「光永」「永福」「延徳」・・・・・・


「私年号」に込められた願いから、日本の歴史を眺めると、新たな気づきが生まれてきます。


ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
・久保常晴『日本私年号の研究 新装版』(吉川弘文館、2012年)

PPS.
西先生による新元号(私年号?)を知りたい方は、1月上旬号のフーヴァーレポート「平成史と元号」をお聴きください。


http://www.prideandhistory.jp/item/