カタカナ専用の宣伝価値


3.カタカナには宣伝価値がある。


カタカナは日本人が発明したものの1つであり、また確かに最も優れたものの1つである。カタカナの使用問題は、日本人の民族の誇りにかかわりのあるものだ。教育を受けた一般の日本国民は、カタカナの使用を外来の文字である漢字の使用よりも好ましいと考えている。

 
4.この種の国家的大改革については前例がある。
 
過去20年間に日本は産業の近代化を図るため、度量衡をメートル法に変えてきた。


漢字の弊害


5.改革は永続的に進める。
 
1945年初めには、戦闘状態下であろうと休戦状態であろうと、占領前の大混乱のさなかに学校は閉鎖され、現世代の漢字教育は2年ないし5年の遅れをきたすことになった。この遅れとともに、占領軍政府が正式に一定期間漢字を禁止することによって、国語としての漢字の使用には必ず終止符を打つことになろう。


漢字は習得が難しくて、一定期間禁止に追い込めば、息を吹き返すのに極めて長期の習得年月を必要とする。話し言葉によって生き長らえることができる代物ではない。10年間も漢字教育を禁止すれば、漢字の読み書きはおそらく死に絶えるだろう。そして、将来は「日本古典」の研究者しか習得しなくなるだろう。


棄却された安藤提案


この機密文書を書いたホールが、教育使節団に日本語改革構想を説明した。
 
ホールについで、通訳を通じて団員たちに話をしたのは、著名な国語学者で帝国学士院会員の安藤正次博士(戦前の台北帝国大学総長)であった。安藤は「将来、思わしからぬ影響をきたすのを避けようとするならば、改革の試みは性急であってはならない」と忠告し、「最も時機にかなった速やかな解決策」として、漢字数の制限を提案した。
 
安藤の常識にかなった提案は、この歴史に残るような機会に実施するものとしてはそれほど革新性がない、というのがホールの考えで、安藤案は二度と日の目を見ることはなかった。
 
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安藤正次

この説明会の2週間後に、教育使節団は「報告書」に、「書かれた形の日本語は、学習にとって恐るべき障害だ」と論断した。
 
これは、「書き言葉としての日本語は、今日普及している言葉の中で最も難しいものだろう」というホールの意見と同じものであった。


西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第2章 富国日本の現状−13


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