白人と黒人


アメリカ社会を一瞥すると、白人が黒人を人種差別しているように見える。事実、白人は、黒人は怠慢で働くことをいやがり、白人社会を食い物にしているだけだと思い込んでいる。


今や「ゲットー」とは、「教育のない寄生虫のような黒人たちが群れを組んで働かずに生活保護の金をもらい、犯罪と麻薬に走っている巣窟」だと思われている。町にあふれている「ストリート・ピープル」も黒人が多い。監獄にも黒人が多く、テレビの映像で実際の犯罪の場面が映ると黒人の顔が出てくる時が多い(アメリカには110万人の囚人がいる。白人人口の1%、黒人人口の7%が監獄に入っている)。

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アメリカ政府は建国以来続いているこの「黒人問題」を解決するため、数々の政策を打ち出した。あたかも全く効果がないかのように、黒人たちの貧困、彼らによる犯罪、家庭崩壊は歴然として存在し、減少するどころか増加していく。


問題本の登場

「知性」とか「能力」とか「富」は遺伝するのだろうか。肌の色のように、「犯罪」「貧しさ」「無能」も遺伝するのだろうか。この、尋ねてはいけない質問を尋ね、その調査結果を出した本がアメリカで出た。1994年に出版された『The Bell Curve: Intelligence and Class Structure in American Life』という本で、アメリカで大事件になった。


遺伝を研究し、「スーパー民族」を人工的につくり上げようとしたナチス・ドイツの悪夢の再来か、とまで言われた本だ。


アメリカの白人と黒人を対象にIQの分布を調べ、知的階級別職業等と組み合わせ、人種的にどう違いが出るかを研究したのが、この本である。


IQ主義

IQが高いほど、収入も良いし、家庭も安定しており、社会的に高い地位に就いているという結果が出たという。


アメリカ国民のIQ分布が釣鐘型(ベル型)の正規分布になるかどうかも疑問があるし、また、IQが本当に「知的能力」を測りえるのかも問題として解決しなければならないが、過去何十年間のIQテストでの結果は白人のほうが高いと出ていた。


それゆえ、高いIQを持っている白人がアメリカ社会の支配階級を手に入れるのは当然だという論法が生まれる。その論法を支えるかのように、アメリカの現状は黒人たちが圧倒的に下層階級であり、生活保護を受け、貧しい人が多い。さらに、生活保護を受ける黒人家族(ほとんど母子家庭)が何世代も続き、その生活態度も劣性遺伝のように親から子、子から孫へととどまるところを知らず、永久に続くのではないか、と特に白人の中産階級の人々が強烈な不満といらだちを持っている。頭が悪いから貧しいのだ、IQが低いから貧困なのだ、と白人たちは主張する。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第3章 富国日本の現状−5