官民主導の愚行

「金融愚行」は今、日本国内でも現在進行中だ。住専(住宅金融専門会社7社)が抱えている膨大、かつ回収不可能な不良債券に対する政府の処理案だ。負債額は不明だが、公開された額だけでも巨額の12兆円以上。


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バブル景気に踊った民間銀行は「土地神話」イコール「土地の値打ちは下がらない」を信仰し、住専に見境もなく融資をし、バブルがはじけて神話がガラガラと壊れ、住専が銀行に返せない額が7兆2000億円。これはまだ序の口だ。


大蔵省および農林水産省の指南(行政指導)の下で、バブルに踊り狂ったのは(または踊らされたのは)農協系金融機関(農協)で、ここからも巨額の融資が住専に回された。


住専の破産で農協は5兆5000億円の大損失(おそらくもっとある)。ところが、どういう発想、どういう経営哲学から出てきたのかわからないが、農協はこの金額を返してもらい、そのうちから、わずか7000億円ほどを住専損害回収機関に「支払う」という。


もちろん、これだけでは住専負債は処理しきれないので、平成8(1996)年度の予算にわれわれの税金を使い、1兆円(それとも2、3、4......兆 円か)支出すると村山政府は決定。橋本政府もそれを支持した。


責任を明示せよ

儲かった時は自分のもので、損失が出たら、税金で補ってもらうという世にも恐ろしい考えだ。数年前に証券業界が引き起こした、あの一般消費者をバカにした「損失補填」と同じ悪行だ。


住専負債事件に関し、「責任」問題が全く議論になっていない。民間銀行も農協も、さらに借り得をした者ども、すなわち経営能力のない者のために国民の税金まで使うことはない。そんな金融機関は日本のために良くない。腐った病原体は日本からなくしたほうが、日本の金融を強くする。


日本国民は、なぜ税金が使われなければならないのかについて、政府から全く説明を聞かされていない。農林水産大臣の説明は、7000億円が農協が負担できる「ギリギリの額」で、それ以上差し出せば農協が破産し、日本の農業自体がつぶれるという。


そのような経営無能力の農協こそ、日本の農業をだめにするのだ。「母体行」と呼ばれている大手の民間銀行には、負債を処理できるだけのカネは十分にある。国民の血税を使う前にそのカネを使って、自業自得の借金を返済せよ。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第3章 富国日本の現状−8