国連崇拝

読者の方々の記憶に残っていると思うが、アメリカは1985年にユネスコから脱退した。アメリカは役に立たないものには金をやらない。発展途上国が勝手に政策を決め、アメリカの言うことを無視するユネスコなどに、一銭たりとも出したくないと宣言した。


一方、日本は今でもユネスコを国際協力の「神社」と思っているのだ。事実、国連への分担金を一番多く支払っているのは日本だ。ところが、アメリカは1995年度の自国分担金中、1230億円も未払いだ。国連からも脱退し、国連の253ビルをニューヨークから追い出してしまえ、という声もアメリカ国内で毎年強くなってきている。


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日本外交の大失策

自動車戦争については、日本側にも数々の正当な理由もあるのだが、アメリカから「現実」を見てみると、過去25年間に、日本はアメリカに4000万台の車を輸出し、売りまくった。25年間で、日本で売れたアメリカ車は40万台。100分の1だ。アメリカの不平不満は25年間鬱積し、爆発寸前である。


日本の外交と交渉のへたなところは、この無残なアメリカの日本市場への進出のなさを「アメリカ企業の責任」だと断言し、アメリカを責めたことだ。猛火にガソリンを注いだようなもので、アメリカが激怒し、「制裁」を持ち出してきた。アメリカは日本と話し合っても、もうなんの効果もなく、時間と忍耐のムダだと結論したのだ。


恫喝する議員たち


これからの日米交渉において、「制裁」はアメリカの武器となる。皮肉なことに、アメリカは「自由貿易」のために「制裁」を使い、使うことにより自国が「保護貿易」になっていく。だが、そんな皮肉に気を配るアメリカではない。ましてや、日本経済そのものが「超管理・保護経済」だと思っているアメリカだ。


共和党の大御所で次期大統領候補のボブ・ドール上院議員は、対日制裁は「日本にとって強い薬になる」と言い、WTOにアメリカが参加することにも反対していた。パ卜リック・ブッキャナン(4年前、そして1996年も共和党候補者になろうとしていた論客)は、「日本からの輸入品全部に100%の関税をかけろ」と言う。さらに「日本一の高級車に100%関税をかけてもそれほどの効果もないので、もっと日本に打撃を与える攻めを考えろ」と言う。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第3章 富国日本の現状−13