強硬論一色のアメリカ

対日強硬論がアメリカで支配的になっている。事実、『ウォール・ストリート・ジャーナル』とNBCニューズ・ネットワークが合同世論調査を行ったところ、国民の72%が日本への「制裁」を支持している。反対派はわずか19%。米上院での「対日制裁」は88対8の大差で可決されている。


民主党クリントン大統領も、政敵共和党がすでにとっている対日強行策よりもいっそう強い立場をとらざるを得ない。アメリカで「日本に対しソフト」と思われたら、もう大統領にはなれない。州知事にもなれない。政治家としておしまいだ。ジャパン・バッシングが上手だと大統領になれる。


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「制裁」を持ち出してきたアメリカの心理は、アメリカの国力の余裕のなさを示すものである。アメリカは「短気」になってきた。世界が自分の思いのままにならない焦りと不安を日本にぶつけてきたのだ。日本はいじめやすい、そのうえ金持ちだから、よけいに都合が良い。「成金」をいじめて悪く言われたためしがない。


デトロイトの復活

1980年代のアメリカ車は、ドイツ製や日本製に比べると恥ずかしくなるほど劣っていた。私自身、アメリカでアメリカ車に乗ってみたいと思わなかった。


だが、デトロイトが日本から恥を忍んで謙虚に学び、1990年頃からすばらしい車を造り出した。デザインも抜群だ。フォード車の「トーラス」がホンダを抜いて、全米で売れ行きが一番になった時、デトロイトはお祭り騒ぎだった。それゆえ、アメリカ車が日本で売れないはずがないと見ている。


クライスラー車は西武自動車を買収し、1995年7月から日本で直接販売を始めた。そして1996年4月、フォード社はマツダを買収した。これは歴史的な事態の進展である。

対日赤字

アメリカのいらだちをさらに悪化させているのは、過去15年間、日本は対アメリカ貿易で大黒字を保ち続けていることだ。15年間、アメリカは日本と商売し、儲かったことは一度もない。


アメリカは対日赤字を日本のせいにする。売ったのは日本だが、買ったのはアメリカ。「いやなら買うな!」が正論だが、正論が通ると思う日本が甘い。


有色人種の日本に、あの陰険な卑怯な真珠湾攻撃をしかけてきた日本に、無条件降伏させた日本に、世界一のアメリカが財政困難に追い込まれたと思わされるだけで、アメリカ人は半狂乱になる。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第3章 富国日本の現状−14