「車検」という謎

最近、アメリカが日本の「車検」について異議を唱えたのには一理ある。アメリカは、「車検」を悪名高き日本政府の規制の、目に見える壁だと思っているからだ。


あれほどの自動車社会のアメリカでさえ、車検などない。あるのは年1回の排気ガスのチェックだけだ。「自分の車は自分の責任」というのがアメリカの姿勢だ。大人の自動車社会だと思う。


日本の消費者は、高価で頻繁にある車検で、一体全体何を得ているのか。今の車はそんなに悪く造ってない。安全のためだと日本政府は唱えるが、アメリカは日本の運輸省が規制している車検は消費者を食いモノにした「政府と自動車産業の談合」だと思っている。

部品に絡む利権

自動車工場は運輸省許可を受けた部品しか使えない。部品の許可に時間と労力がエンエンとかかる。


アメリカの部品が入ってくると、暴利をむさぼっている日本の自動車社会およびその系列企業は「黒船到来」ほどの大騒ぎになる。というのも、車検で安いアメリカ部品が使われれば、日本の消費者は5年ごとに新車に買い替えてしまうことはないだろう。

67f.jpgそうすると、次々と新車を売っている自動車会社は、日本の消費者に不当に高い値で車や部品を売れなくなる。得をするのは「日本の消費者だ」と、アメリカは言う。

知られざる価格の差

事実、日本での車の値段はアメリカ市場での値段よりも高い。例えば、トヨタのセプター3.0Gはアメリカで2万3500ドル、日本で2099万円。


差額は1ドル=100円で64万の違い。日本の消費者が64万円余計に支払う。よく売れているホンダのアコード・セダン2.2は2万1200ドル。日本では258万円。差額は46万円だ。


このような内外価格差は、もちろんアメリカも十分知っているので、「日本の消費者もアメリカが日本政府や企業の規制を壊せば得をする」と宣言する。ロビンフッドの心意気なのだろう。また日本では修理費も高い。日本政府も自動車業界も内外価格差、車検、修理費については無言だ。





西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第3章 富国日本の現状−16