貯蓄の行方

「車検」どころか、もっと深刻な現状が日本国内にある。大蔵省と日銀が世界の笑いものになっている。


アメリカの赤字にまつわる日本の対応が、あまりにも幼稚だからだ。すなわち金もないのに消費だけがふくらんで、アメリカは世界最大の負債国になったが、すずしい顔をしている。日本国民の世界一の貯蓄(2200兆円)がアメリカを支えているからだ。日本人の貯金(全世界の貯金総額の30%)をアメリカ人が使っている。


その仕組みは驚くほど簡単。ドルが下がるたびに(円高になるたびに)、日銀はドルを買い支え(われわれの血税で)、そのドルでアメリカの"Treasury Bill"(アメリカの国債)を買う。これでアメリカにどっと金が入ってくる。アメリカはそれを使う。使い果たすとドル紙幣を印刷する。当然、ドルが下がる。円が上がる。


為替による大損

円が上がると日本からの輸出品が高くなり売れなくなると心配し、大蔵省・日銀が介入してドルを買う。民間銀行もドルを買わされる。日銀に使えないドルが山積みになる。使えないのは、山積みになっているドル(6000億ドル・60兆円)を使うと、さらにドルが下がるからだ。


その膨大な額のドルの値打ちは下がる一方。2、3年前に1ドルは140円~130円だった。その時から、1ドルは40円ほど下落している。普通の国ならつぶれるほどの大損害だ。


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例えば、1ドルが140円の時、アメリカが日本から100ドル借りたとする。1ドルが100円の時、日本へ返すと1万4000円でなく1万円返せばよいのだ。100ドルは100ドルだ。4000円損をしたのは日本だ。日本はこの無茶な政策を何年間もやっている。


誰が責任を負うのか

ウワサによると、その為替差損はすでに40~50兆円という。もちろん、こんな大損害を出すバカな政策は続けられないので、いずれ日本がアメリカの国債を買わなくなる。そうするとドルが急落し、円が急騰する。


日銀だけでなく民間銀行、そして郵便貯金や各種の年金基金、さらに私も入っている私学共済組合の膨大な円(日本人の貯金)が、今現在ドル買いに使われているという。テレビ1台を盗むと牢屋に放り込まれる時に、これだけの天文学的損失を出した者は無期懲役にされるべきだ。


誰が責任を取るのか。「日本国民」のせいではない。実際に決定を下している責任者がいるわけだ。マスコミはなぜ、その者たちを追及しないのか。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第3章 富国日本の現状−17