余剰米の行方

タイでは悲劇が演じられていた。


米を日本へ輸出するほうが儲かるので、タイ国内で米不足が起こり、値がつり上がり、貧しい人々は米が買えない。日本人はタイ米が嫌いで、家畜やニワトリのエサに転売されている(北朝鮮に送られた米はこのタイ米か、カリフォルニア米か、中国米か、高い日本米か)。


今、80万トンの、誰も食べたくない外米が倉庫に積んである。倉庫代を払わねばならぬ。年間、150~180億円という。国民の税金で払う。誰の責任だ。


国内市場の自由化

平成7(1995)年も豊作だった。日本米がさらに余る。そのうえ、平成7年から、海外から最低輸入量40万トンが毎年自動的に日本市場に入ってきている。倉庫代がさらにかさむ。


米が余る要因は国内にもある。平成7年11月1日からの新食糧法で、米の生産と流通が大きく変化した。農林水産省の管理からの解放だ。それぞれの農家の選択が増える。


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おいしい米をたくさん作り、自分で流通ルートを開発でき、日本米の自由な競争になり、米の値も下がるだろう。そうなれば、消費者はよりいっそう国産米を買い、輸入米はまた余る。

コメ文化と陛下

「カリフォルニア米」で思い出したことが一つある。


日本政府はカリフォルニア米の輸入をしないため、昭和天皇の田植え姿までも持ち出し、「稲作は日本文化の根底であるので、自由化をすれば、日本文化の源が絶える」と弁解したが、当時、それをアメリカで見せられた私は唖然とした。


稲作は日本文化の源であることに異議はないが、「日本の米」がなぜ「例外」にならなければならないのかを説得するために天皇陛下を持ち出すのだが、アメリカ人にとっては「真珠湾奇襲攻撃」のことを連想させるだけだ。


日本政府も外務省もアメリカ人の心理を全くわかっていない。アメリカ人の歴史観についても無知。ともかく、天皇および天皇制度を一時的な外交的利益に使う愚劣な政策は、速やかに改めるべきだ。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第4章 富国日本の現状−7