揺らぐ日米同盟

アメリカの世論に「日本は永久に扉を開かない経済大国」だという観念が定着してきた。すなわち、アメリカにとって日本は見返りのない国だという。


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そんな日本をアメリカが守る必要はないのではないか、という疑問がじんわりと浮上してきている。このようなアメリカ国内での感情を察したのか、日本政府はODAを増やしたり(過去5年間連続で世界一多額)、PKO(国連平和維持活動)をしたり、一生懸命に世界平和のために奉仕しているのだが、アメリカは日本の内部を開放しろと言っているのだ。


「いざ出陣!」となった時、アメリカのために何もしない日本の防衛のためには出陣しないのではないか。アメリカは、日本を真の軍事同盟国とは思っていない。


羅針盤を失った日本

日本の経済力に対する脅威心は薄らいできているが、不信感は募る一方だ。アメリカの不信感をより悪化させているのは日本の政治だ。アメリカは日本の「政治文化」がわからない。わかるはずもない。日本国民にさえ見当もつかないのだから。


日本の政治に国民の夢もロマンもない。日本の将来に夢を抱かせてくれる指導者もいない。失望しているのは日本国民だけではない。経済大国日本に期待していたアメリカの失望は、日本国民のそれよりもっと厳しい。信頼できる政治家や指導者のいない国と本気になって軍事同盟を結べるわけがない。


だが、魂もなく「カネ」を求めて放浪する日本は、アメリカにとって全く安全な国だ。無関心に、ほっといてもよい国だ。自信のない日本はアメリカについてくると確信している。


「力」の格差

日本に対して、アメリカは自国の「力」の格差を再確認した。


バブル経済で一時的に日本に脅威を感じていたアメリカは、大不景気に苦しんでいる日本を冷たい目で見つめ、「日本神話」が音を立てて崩壊している現状を「当然」と思い、手を差し伸ベることさえしない。むしろ、このような日本に追い討ちをかけ、アメリカの「アジア制覇」を完全にしようと動いている。


以上のようなアメリカ国内での日本に対する態度の変化は、日米関係の土台となっている「安全保障」に影響を及ぼしてきた。その将来について、アメリカが疑問を口にし出した。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第4章 富国日本の現状−11