国防意識の欠如

「国防」は日本国民が一番苦手な話だ。日本政府も真剣に考えたくない題材だ。日本の運命、死活がかかっているというのに、日本政府も国民も考えたくない、「手を汚したくない」と思い、懸命に無視しようとしているのが「国防」だ。


いや、無視よりも悪い。蔑視している。外敵の侵略はないと、信じ込んでおり、日本国民は「国防」とか、「武力による国の安全」は汚いものだと思っている。


汚い仕事は外国人にやらせるのが当たり前と、日本人は「国防」をアメリカ軍に任せている。

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カネと安全保障

日米安保はソ連と中国に対して砦を築くために結ばれた軍事同盟であり、冷戦の落とし子だ。この安保により日本は自国の陸・海・空軍にカネを使うことなく、経済力の強化と富の蓄積に全力を傾け、「日本式経営」がアメリカで学術研究の一分野になるほどの大成功を収めた。


だが、「国防」は絶えず日本国民の脳裏のスミにあった。金持ちになればなるほど、「守り」が心配になる。


冷戦が終わり、世界中でホッと安堵の声が聞かれ、軍縮ムードが広まり、今まで武器に使っていたカネが一般経済市場に流れ、各々の国が繁栄すると思われた。「平和の配当」という言葉まで生まれた。


変貌するアジア

ところが、経済成長がめざましいアジアでは軍備が拡張している。日本の国民は全く「無防備」だ。日本の「無防備」をアメリカに都合の良いようにあやつられている。また、日本もアメリカにあやつられるような態度を示す。


その恥ずかしい一例は、戦後50年間も「安保」とか「アメリカ軍」とかに全身全霊を込めて大反対していた社会党が、その党首が首相となり、「村山政権」が生まれるや否や、日米安保体制賛成と宣言する。


権力もカネと同じで、多くを手中に収めれば、必死になって守ろうとする。時には信念を捨てても、魂を売ってでも......。


こんな日本をアメリカが「属国」と思わないわけがない。アメリカの植民地だと思われて当然だ。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第4章 富国日本の現状−12