メイド・イン・ジャパン

日本の根性のあるところを宣伝することが大切なのだ。だが、この海外宣伝(外交)のへたな日本の前途は暗い。


暗いどころの騒ぎではない。米国内の日本商品、特に自動車に関しては、日本にしてやられたアメリカの威信の問題も絡み、異様な雰囲気が漂っている。


確かに、日本車のアメリカ市場進出には全く目を見張るものがあった。戦後「メイド・イン・ジャパン」を粗悪品の代名詞として使っていたアメリカの一般消費者は、今や日本製品に畏敬と称賛の言葉を浴びせ始めた。最近では「メイド・イン・ジャパン」は最高級品の代名詞として使われている。この消費者の態度の変化は、私もアメリカに30年間いて、顕著に見てきた。

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アメリカの苛立ち

この変化は日本にとって喜ぶべきものだが、アメリカで怒り狂っているのは、大きな影響力を持っているデトロイトの自動車製造業者たちである。彼らの逆鱗の対象となっているのは大迷惑な話である。


彼らは過去20年間にわたり、目に見えて小型自動車の売れ行きが増えているのに、1台につき利潤の多い大型車ばかりを製造してきたのだ。


1973年のオペック(OPEC、石油輸出国機構)の石油ショックで、米国はもちろん、全世界が戦慄した時でさえ、デトロイトではでっかい車の生産に全力を挙げていた(それらの大きな車は米国でガス・ガズラー、gas-guzzlerと軽蔑的に呼ばれている。高いガソリンをガボガボ飲む車の意)。

八つ当たり

デトロイトは小さい車も造ったが、造るほうに「真心」が入っていないため、工場から出てくる車の質はすこぶる悪く、数か月にして、アメリカ製小型車は笑い話のネタになった。


小型車ばかりでなく、アメリカ車全体に共通する品質の悪さ、ガソリン効率の悪さは、優れた日本製の車の人気をいっそう高めることになっていった。


デトロイトは自分たちの過去のガツガツした貪欲さを自己批判することなく、日本の自動車会社に八つ当たりをする。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第4章 富国日本の現状−18