アメリカ帝国

朝鮮戦争でアメリカは共産主義(特にソ連と中国)が最大の敵であることを確認した。アメリカの経済力、工業力、知識産業力に当時まともに挑戦できる国はなく、アメリカは世界各国から敬われ、人気絶頂であった。


日本もアメリカの威光を盾にとって、怖いソ連と中国に向かってアメリカが吐くセリフを丸暗記し、それを忠実に復唱していた。


この日本の献身的な態度をアメリカは当たり前と考えていた。というのも、日本の外交はアメリカのコピーだから、別に事前協議などする必要もないと思っていたのだろう。


ニクソンとヴェトナム

その良い例がニクソンの中国政策だ。アメリカは毛沢東の中国は存在しないと日本に長い間、言い聞かせていたのだが、ある日突然、ニクソン大統領が中国を訪問した。日本に事前に知らせないで。

90f.jpg
この「ニクソン・ショック」は日本だけであり、アメリカにはその余波も感じられなかった。「また、日本がグズグズ泣いている」と思われたのが関の山だった。


1960年代に、アメリカ社会およびその世界制覇の座を根本的に揺さぶる出来事が起こった。ヴェトナム戦争である。この正式に戦争宣言がされていない戦争が、地域的なゲリラ戦から50万人もの兵を送り込む大戦争に徐々にエスカレートしていく経過を、私はワシントン大学大学院で学びながら目のあたりにした。


泥沼化する戦争

この戦争はなんと10年以上も続いたのだ。アメリカの持つ工業力、機動力のすべてを使い、数カ月でヴェトコン・ゲリラ軍を退治するはずであったのが、現実は日ごとに悪夢と化していった。


泥沼に落ち込んだアメリカは、大帝国としての誇りもあり、引くに引けず、あがけばあがくほど、ズルズルと深入りしていった(これはアメリカの「満州事変」か)。


巨額の国費を使い国内経済をメチャメチャにし、たくさんの若いアメリカ兵士の血を流し、そして、アメリカ社会を真っ二つに割りながらも、なお政府はこの戦争をエスカレー卜させていった。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』
第4章 富国日本の現状−21