blog131.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

国際関係学では、核兵器に対する考え方に大きな理論的な隔たりがあります。

隔たりというよりも、認識が真っ二つに割れている。たとえば、トランプ大統領のように「核兵器の力、抑止力で平和をつくる」という考え方。

その一方でノーベル平和賞を受賞したオバマ元大統領のように、「核兵器をなくすことで、平和をつくる」という捉え方である。

共に平和を目指すことは同じだが、その道筋が大きくことなる。核兵器が拡散することに対して「性善説」と「性悪説」の思想的な争いがあるからです。

性善説

核兵器が世界中に広がることを肯定しているのが、ケネス・ウォルツ教授(1924〜2013・カリフォルニア大学バークレー校名誉教授)だ。

国際社会は無秩序なので、国家が自らを護る手段こそが核の保有である。「核のある世界」では、報復されることを恐れ、国家は戦争を抑制するから大規模戦争は起こらない。

逆説的なことだが、核が拡散することで、国際社会は「脅威による均衡」により安定すると主張する。

性悪説

ウォルツ教授とは対照的に、性悪説を信奉しているのがスコット・セーガン教授(1955〜現在・スタンフォード大学教授)である。

新たな核保有国が次々と誕生すると、予防戦争・侵略行為を仕掛ける恐れが高まり、核管理にも疑念が残る。偶発事故も起こりかねない。核兵器の拡散で、世界は不安定になると反論する。

彼らの学問的な争いは、終わりが見えない。議論の最初のスタート地点である核兵器への認識が異なっているからだ。

核兵器をめぐって、世界各国はどちらの道を選択するのだろうか。それとも、第3の道を模索し、歩むのだろうか。核兵器をめぐる動きから目を離すことができない。


ー岡崎 匡史
PS. 以下の文献を参考にしました。
・スコット・セーガン、ケネス・ウォルツ『核兵器の拡散』(勁草書房、2017年)