二度目の面接



1ヶ月後、ニューヨークのJWT本社から私の研究室に電話があり、同人事部長が「サンフランシスコ支店のマネージャーに会ってくれ」との招待をした。美しいサンフランシスコに飛んだ。

シスコのマネージャーは、眼光の鋭いカミソリのように切れる50歳前後の男だった。彼の最初のセリフが、「君が広告を知らない男か。JWTが君のような男を2度インタビューするのは初めてだ」であった。

彼とは太平洋戦争について討論した。


ニューヨークへ


1週間後、ニューヨークの本社に呼ばれた。初めてのNew Yorkだった。ハダがピリピリするように、すごく活気があった。落書きもなく、すばらしい「世界のニューヨーク」だと思った。ブロードウェイでは、ヒッピー世代を代表する"Hair"が連日満員御礼で上演されていた。

JWTの本社はニューヨークのど真ん中のグランド・セントラル駅の隣のグレイバー・ビルの中にあり、同じビルにファッション雑誌で有名な「マドモアゼル」や「セブンティーン」が入っていた。


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エグゼクティブの世界


JWTは7階から14階まで。14階はエグゼクティブたちの別世界。そこで、私は5人のエグゼクティブに面接をされた。

驚いたことには、エグゼクティブのオフィスは各自の個人的な好みによって造ってあった。扉が黒い鉄の格子のもの、扉のないもの、机のないもの、椅子のないもの、高価な絵で飾ったものとさまざまであった。どのオフィスにもハッとするほどの豪華さと斬新さがあった。

椅子のないオフィスへ案内され、私がぐるりと見回していると、エグゼクティブは「何を探しているのだ!?」とからかい、「立っているほうが創作力がいっそう活発になる。動物の世界で立って生活しているのは人間だけだ。それなりの理由があるのだ」と言った。




西鋭夫著『富国弱民ニッポン』

結び/後記 富国日本の現状−11