エグゼクティブ・ランチ


昼食は「昼食会」になった。「エグゼクティブ・ダイニング・ルーム」というものがあり、平社員とは完全に「格差」を意識して造られ、とても高価なもので飾りつけてあった。

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これは、平社員に「必死に働いて、実績を積み上げ、報酬をたくさんもらい、エグゼクティブになれば、15階に入れるし、この部屋でランチが食べられるぞ」と特権を誇示し、若い者たちの野心を駆り立てるようにしてあるのだ。

日本では、アメリカは「自由、平等」と思われ、「差別」をしない国と考えられているようだが、現実は日本よりずっと「差別社会」だ。

「学歴」でなく「能力」で差別するのだ。人間の「能力」「やる気」「努力」には格差があるのは当然と思っているし、「格差」に応じて報酬を得ることこそ、「平等」であると考えている。日本人は「民主主義」を錯覚し、「画一主義」だと思っている。


JWTの3年間


JWTで私は「アシスタント・エグゼクティブ」として雇われた。エグゼクティブだが、その一番下っ端だ。しかし、エグゼクティブ・ダイニング・ルームには入れた。

コダック社の「担当組」に配置され、猛特訓の毎日が続いた。ニューヨーク州のローチェスター市にあるコダック本社に、フィルムの製造過程を学ぶ1ヶ月ほどの特訓もあった。

JWTについて話をすると数々のおもしろい話があり、止まらなくなるのでこのあたりでやめるが、1970年、大阪で万博が開かれた時、コダック館に飾る写真とか、今では当たり前になっているインスタマチック・カメラを日本に導入したのはJWTで、私も片棒をかついだ。

良い思い出ばかりの広告代理店だった。JWTで3ヶ年働き、またワシントン大学へ戻った。


西鋭夫著『富国弱民ニッポン』

結び/後記 富国日本の現状−12