日本人への敬意


死闘が続く。そして、とうとうその神風を撃ち落とす。その瞬間、どっと大歓声が湧き上がる。その直後、甲板上がシーンとした静寂に覆われる。


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水兵たちはそのすばらしい敵日本人パイロットに、戦士としての畏敬の念を感じるとともに、「なぜ落ちたのだ!?」「これだけみごとに戦ったのだから、引き分けにし、基地へ飛んで帰ってくれればよかったのに!!」と言う。

アメリカ水兵たちの感情は、愛国心に燃えた1人の戦士が、同じ心を持って戦った戦士に感じる「人間性」であろう。これは戦争の美化でなく、激戦の後、生き残った者が心の奥深く感じる戦争への空しさだ。


教えられなかった歴史


南太平洋の島々や、東南アジアでの、日本兵とアメリカ海兵隊との壮絶な戦いは、沖縄へと続く。「玉砕」という日本軍の戦い方はアメリカ人たちには理解しがたいものであった。だが、彼らは「日本兵の勇敢さ」と「戦士としての誇り」は十分に理解していた。このアメリカ兵たちが持っていた尊敬の念が、日本占領を残酷なものにしなかったのではなかろうか。

日本の学校では(小・中・高・大学を通して)、日本が戦った数々の戦争については「日本が侵略した」とだけ教え、内容は全くない。意味もない。

今の日本にとって最も決定的な影響をもたらした第二次世界大戦について、日本の生徒たちは「満州事変」「真珠湾攻撃」「広島・長崎の原爆」しか知らない(私自身もあまり知らなかった)。


機密文書の公開


アメリカに留学して初めて、私が「近代日本史」を学んだことは、文部省と日教組に牛耳られている日本の学校教育が、どれほど自国の歴史を無視しているかをさらけ出したようなものだ。

博士課程では、教授と私一人だけの授業もたびたびあった。博士論文は日米関係のどの側面について書こうかなと考えていた時、「ニューズウィーク」誌の小さな記事が目についた。とても小さい記事だったが、その内容は私にとって重大な意味を持っていた。「1945年度のアメリカ政府の機密文書を公開する」と書いてあった。アメリカ政府は極秘文書を30年後に全面公開する。30年間で時効となる。

「1945年は昭和20年。アメリカの日本占領が始まった年だ。日本人の知らないことが山ほど隠されているのではないだろうか。アメリカ政府の本音がわかるのではないか」と思った。



西鋭夫著『富国弱民ニッポン』

結び/後記 富国日本の現状−14