blog152.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

日本では、年間7万冊以上もの新刊が発行されている。
膨大な書籍のなかから、どの本を読めばよいのか。

選択の幅がありすぎて、選ぶことさえ困難を覚えます。いくら速読法を習ったとしても、読む本を間違っていたら、ボタンの掛け違いがずっと続いてしまう。

書店で似たような書籍が数冊あったとき、どの本を購入すればよいのか?

誰もが、質のよい、しっかりした本を選びたいはず。では、その判断基準はどこにあるのでしょうか?

本と索引


あなたの本棚から、数冊、本を手にとってください。その書籍に「索引」のページはありますか?

日本で出版される書籍は、索引のある本が少ない。書籍のジャンルにもよりますが、2〜3割くらいでしょうか。その一方で、欧米の書籍は8〜9割方、索引が付いている。アメリカでは、索引を作成する専門家まで存在します。それほど、索引を重要視し、読者の利便性を考慮して書籍を作っています。

索引は決して書籍の付属品、おまけのような扱いではありません。本の内容と一体化しているものなのです。私も自分の本を作った際は、1ヶ月もかけて索引を作成しました。

故・山本七平(1921〜1991・山本書店店主・イザヤ・ベンダサン名義で『日本人とユダヤ人』を刊行)は、「索引のない本は目のない巨人」と喩えています。

コストと思想


そもそも、なぜ、日本では索引のない本が多いのか。

「読書百遍  義おのずから通ず」という思想に体現されているように、しっかりとした読書を促すため、索引をあえてつけなかったとも考えられます。

しかし、現代の出版事情の大きな背景はコストです。索引作成に、わざわざ何週間も、そして人件費もかけたくない。早く新刊を出版し、利益を確定したい。さらに、索引を上手に作れる編集者も不足しています。

たとえ索引のある書籍でも、数日から1週間ほどで簡易的に索引が作られています。実際、索引をつくるのは、とても面倒で複雑な作業です。キーワードだけを抜き出し、Word検索をして、ページ番号を抜き出す、という単純な作業ではありません。

ですから、あなたが書籍を買うときに索引が付いていれば、その本はコストパフォーマンスが高い。そして、「索引の思想」が、出版社と著者に根付いているのかが重要な判断基準です。


ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
・藤田節子『本の索引の作り方』(地人書館、2019年)