映画から見る米国の姿


米国からは、子ども向けの映画だけではなく、大人向けの映画も入ってきました。映画を通して、米国社会の様子も伝わってきました。そこにはキラキラと輝く黄金時代の米国の姿がありました。食べ物も豊富にあり、住宅は宮殿のように見えました。掘っ建て小屋に住み、雑炊ばかり食べている私たちから見ると、夢のような国でした。

黄金時代の米国を、ハリウッドは世界中にドンドンと発信しました。日本の娯楽は映画しかありませんでしたから、誰もが見に行きます。そして全員がアメリカに憧れた。私もその一人です。憧れない方がおかしい。貧乏で飢えた日本国民が一瞬にして魅了された。

映画の歴史を振り返ると、すでに100年以上、ハリウッドによる帝国時代が続いていることに気付きます。インドからは「ボリウッド」が生まれましたが、ハリウッドには敵いません。ハリウッドはやはり特別なところです。すばらしい映画を作ります。


黒澤映画の衝撃


GHQによる占領時代が終わる頃、黒澤明(1910〜1998)の映画が放映されるようになってきました。黒澤は「天才」と呼ばれましたが、彼の映画は全て新しい。オリジナルそのものでした。

私は22歳の時に米国に留学しましたが、1960年代の当時、黒澤明の映画は週1回、金曜日の夜に放映されていました。映画館は若者で溢れるほどいっぱい。黒澤の映画はそれほど評価されていたのです。ハリウッドで有名な監督たちも、現在はすでに60歳、70歳になっていますが、若い時には全員、黒澤映画に影響を受けています。自分でもそうはっきりと言っています。


ハリウッド帝国


黒澤映画はほとんどが白黒でしたが、ハリウッドの映画は全てカラーでした。当時の言葉で言うと「総天然色」です。子供たちからするとその差は歴然。カラーしか見たくない子供たちが大勢いました。日本では黒澤よりもハリウッドが人気でした。

最近は日本の映画も評価されていますが、製作費や製作数では比べものにならない。製作費では「二桁違う」と言い切る人もいます。


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ハリウッドは近い将来、おそらくデジタルの世界に進出し、GoogleやAmazon、Appleと組んで、世界を席巻するでしょう。私たちの日常生活もハリウッドに侵食されるでしょう。



 

西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年9月上旬号「米国メディア」− 7