湾岸諸国の思惑


シリア難民が大きな問題になっておりますが、少し視点を変えて、シリアを取り囲む国々を眺めてみましょう。シリアの北には難民を受け入れているトルコがありますが、東にはイラクやイラン、南にはヨルダンやサウジアラビア、東南にはイスラエルがあります。

なぜ、トルコ以外の周辺国は難民を受け入れていないのでしょう。答えの一つは、中東の国々は結局のところ、難民問題の元凶がイギリスとフランス、そしてアメリカにある、と考えているからです。

彼らからすれば、この三ヶ国は「戦争で中東を引っ掻き回した張本人」であり、また「我々の家を破壊し、親戚を見殺しにした野蛮人」そのものでしょう。私たちは現在の中東情勢を、「国家」を中心に捉えていますが、この地域の人々についてよく考えれば、彼らはもともと「同胞」です。これを一網打尽に、勝手にかき乱したのが欧米諸国だったわけです。


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サウジアラビア


サウジアラビアのように巨大な土地があり、石油がある国はどうでしょう。この国の労働者は、あまり知られてはいませんが、その多くは外国人です。サウジアラビア人自身は、肉体労働をあまりしません。 

これだけ裕福な国がなぜ難民を受け入れることが出来ないのか。言葉も通じるでしょうから、せめて50万人ほど入れてあげればと考えてしまいます。しかし、サウジアラビアも結局のところ、テロが怖い。難民の中に、必ずテロリストが紛れ込んでいると思っています。

では、誰が解決すべきなのか。サウジアラビアは、その責務は欧米諸国が負うべきだと考えています。


オバマ大統領の狙いとは


一方、アメリカはどのようにこの状況を捉えているのでしょうか。オバマ大統領の任期は2017年1月で終了ですから、残り1年半あります(収録時2015年現在)。

アメリカの歴史が「移民」で成り立っていることを踏まえれば、彼が動くことは確実だと思いますが、それはまた自らの「業績作り」である点は否めない。オバマ大統領は、アメリカ史上、一番業績の少なかった大統領と言われています。黒人たちからも、歴代の大統領の中で最悪だ、と言われています。

オバマ大統領は就任後すぐに「ノーベル平和賞」をもらいます。しかし、それは何の意味もなく、何の価値もなかった。ノーベル平和賞の価値の失墜です。そんなオバマ大統領にとって難民問題とは「絶好の機会」となりました。彼は今、「何かを残さなければならない」と必死でしょう。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年9月下旬号「難民」− 3