女性初の大統領は誕生するのか


米国史上、女性が大統領になったことは一度もありません。フーヴァーレポートをお聞きの皆さんは、そこには「女性差別」といった問題があるのだろうと考えるかもしれません。過去には確かにそうした差別意識はありました。しかし、21世紀の今、その議論は時代遅れです。


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ヒラリー候補者が直面している問題は別です。言い方を変えると、彼女の過去に何も問題がなければ、次期大統領選はヒラリーの圧勝でしょう。彼女は、全米に組織を持っており、資金も潤沢です。彼女を応援する熱烈なおじいちゃん、おばあちゃんたちもたくさんおります。

しかしヒラリー候補者のかげりは想像以上に深い。民主党内での指名候補者争いの中でもすでに露呈しています。


サンダース戦の舞台裏


指名争いでヒラリー候補者と戦ったのは、バーニー・サンダースという上院議員でした。民主党内での世論調査では、ヒラリー候補者の支持率が80%、サンダース候補者は5%でした。サンダース氏はこの状況でどう戦うのか。彼は、自分のことをはっきりと「俺は社会主義だ」と言い、「必ず税金を上げる」と言いました。党内でも笑い者です。有権者も笑っていました。

ところが、サンダース氏の演説を聞いて、燃え上がるように興奮した人々がいた。それは、全米各地の若者です。大学生だけでなく、仕事がない若いお兄ちゃん、お姉ちゃんたちが、サンダース氏の応援に駆けつけたわけです。無給の彼らは、今度はサンダース氏のWebサイトを作り、一人当たり上限27ドル(約3,000円)の寄付を募り始めました。全米から3日間で3億円、集まりました。

その一方でヒラリー氏は、金策に困ることはありません。初めから莫大な資金を持っていた。自宅から近いウォール街では3回ほど講演しただけで、6,000万円もらったこともあった。

彼女は、自分のような超エリートには許されると考えたのか、国の仕事とプライベートもごちゃ混ぜにしました。国務長官時代、自宅のサーバーを通して外交上の極秘文書のやりとりを行っていたのは有名な話です。これが後に大問題を引き起こした。


クリントン財団の謎


夫のビル・クリントン氏による「クリントン財団」にも注目が集まりました。この財団は設立(1997年)から15年ほどの間に、日本円にして約2,000億円集めるわけです。「冗談か」の世界ですが、支援者の多くは中東の金持ちの国々にいました。

ヒラリー氏の選挙資金は一体どこからやってきたのか。まさか、将来の大統領候補が中東諸国と裏取引をしていたのか。極めて深刻な疑惑です。有権者たちは唖然としました。大統領候補としての資質が問われて当然でしょう。

その一方で、お金のない若者たちが汗水垂らして働いているサンダース陣営に対する見方が変わっていきました。いつの間にか、サンダース氏に対する支持率は5、6%から50.0%近くまで上がり、ヒラリー氏との差は小数点ほどとなりました。


西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年2月上旬号「大統領選挙と人種差別」−2