裏切られた期待


私が知る限り、黒人たちの中で一番人気のない歴代大統領はオバマ大統領です。マスコミでも、「これまでの大統領の中で最悪」「ブッシュ前大統領よりも酷い」などと言われています。ブッシュ・ジュニアは相当馬鹿にされましたが、それ以上の酷評です。

オバマ氏は黒人差別という壁を乗り越えて大統領になりました。しかし現状を踏まえると、次回の民主党の立場はかなり危うい。オバマ大統領に投票した黒人票は行き場を失うでしょう。


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白人たちの期待も裏切られました。彼らは2度、オバマ大統領に投票したわけですが、「彼は言葉ばかりで、何もしない」という評価が定着しています。もちろん、議会の勢力図が大きく影響したことは間違いない。しかし、それでもなおオバマ大統領の軟弱なリーダーシップに米国民は唖然としました。


強いアメリカを望む声


現在のアメリカ社会の状況は、実は1980年代、レーガン政権が登場した頃とよく似ています。当時も、外交オンチな大統領が多くの批判を浴びていました。

このときの米国民たちは、今と同じように、強いアメリカを望みました。これを実現できる人であれば、人種も宗教も、性別も関係ない。リーダーシップがあり、米国民のための政策を実現できる大統領を求めたわけです。

そこで登場したのがレーガン大統領でした。黒人票はこれまで民主党へと向かっていましたが、仕事が増え、給料も上がり、景気が良くなると、黒人票は共和党へ流れていきました。

2016年2月の現状は、レーガン大統領が登場した当時と驚くほど似ています。


ヒスパニック票はどこへ向かうか


ここ数十年、アメリカ社会で急激に人口を増やしているヒスパニック系も無視することはできません。隣国メキシコから、毎年大勢が押し寄せています。彼らの多くは不法移民です。

彼らはアメリカ社会で職を得ました。その内容は、農園でレタスやオレンジを収穫したり、レストランで給仕したり、ホテルの掃除をしたりするなど、誰もしたがらない仕事です。彼らは非常に良く働きます。黒人たちは、1時間働いたら10ドル欲しいと言うところ、ヒスパニック系は文句を言わずに時給5ドルで働きます。ヒスパニック系を不法だとして追い出したら、アメリカ社会は混乱に陥るでしょう。まずはスーパーから果物や野菜が一瞬でなくなります。

また彼らはカトリックです。避妊しませんから、たくさんの子供を産みます。人口は爆発的に増え続けます。彼らは家族も、コミュニティも、仲間もとても大切にしますから、選挙戦に大きな影響を与え得る極めて重要な勢力となります。




西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年2月上旬号「大統領選挙と人種差別」−5