なぜトランプ氏は支持を集めたのか


2016年の大統領選はどうなるのか。共和党からは不動産王ドナルド・トランプ氏が筆頭候補者としての存在感を増しています。現在(2016年2月)六十九歳です。イスラム国のテロ問題に関連して、イスラム教徒の入国禁止を提案するなど、過激な言動が大きな注目を集めています。

ドナルド・トランプという名前は、すでに全米中に知れ渡っています。テレビ番組で有名な番組を制作し、彼がその主役でした。ビジネスのお手本を伝えるような番組です。大人気でした。

マスコミをコントロールする才能も天才的です。彼が何か言うと、マスコミが逃しません。演説が上手いわけではありませんが、単純な言葉で、国民が抱えている不満や不平をストレートに表現するわけです。これが受ける。米国民の中でも、特に白人たちは盛り上がります。


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強いリーダーシップ


オバマ政権が軟弱外交で批判されていますから、トランプ氏の登場はなおさら歓迎されるでしょう。トランプ氏は絶えず、「Make America Great Again」(メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン)と何度も主張しています。


彼の人気は、レーガン大統領の幅広い人気と似て異なる面を持っています。トランプ氏の場合は、その人気を自ら限定していくことで、ある特定の人々からの支持を揺るぎないものにしていく感じです。これにより、トランプを好まない人はますますトランプ嫌いになり、挙げ句の果てには「トランプ絶対反対派」などが形成されるほどです。

物を作る天才であるトランプ氏は、「国境に万里の長城を作る」と豪語し、自分の作るホテルより「壁」を作るのは簡単だ、と言います。聴衆は大喜びです。「そのお金は絶対、メキシコに払わせるからな」と付け加えると、会場は大喝采に包まれます。

メキシコにある米国産業も許しません。「戻ってこい」と命令のように言います。殺伐とした地方都市の復活を、トランプ候補者に託す労働者たちがたくさんおります。


諸刃の剣


しかし、トランプ氏の政策を突き詰めると、それは排外主義であり、特定の人種や宗教を差別する国になってしまう可能性もあります。彼の存在は、いわば米国における「諸刃の剣」です。彼自身も、時々誤って自分の腕を切ったり、剣を足の上に落としたりしています。

ただしトランプ候補者は、込み入った話、難しい話をしない。ストレートに、ありのままを堂々と国民に伝えます。

民主党政権時代に米国民が苦しんだのは、「話すべきことを話さない」「話すべきことを難しく話す」オバマ政権でした。トランプ氏は、見ている方が恥ずかしくなるくらい、カメラの前で平気でズケズケと話します。このスタイルが、米国民の心を惹きつけて止まない。




西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年2月上旬号「大統領選挙と人種差別」−6