ヒスパニック系移民


ドナルド・トランプ氏はイスラム系だけじゃなく、ヒスパニック系に対しても侮辱的な発言を繰り返しています。麻薬や犯罪の元凶がメキシコだと名指しです。

しかし、今後の米国政権は、ヒスパニック系を無視しては決して成り立たない時代になっていくでしょう。人口予測では、2050年にはヒスパニック系が25%を超え、黒人やアジア人種の割合が白人を上回ると予測されています。私は、このスピードはもっと早まると思う。カリフォルニアがすでにそうです。白人の数は激減しています。


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人口比率の変化が、政治にどのように影響するかは慎重な検討が必要です。しかし、少なくとも、大統領候補者はマイノリティー、つまり少数派からの支持を集めなくてはいけなくなるでしょう。今の少数派は、将来の多数派だからです。

トランプ候補者が共和党の勢いに油を注ぐとすれば、その火を消すことができるのはヒスパニック系だと私は考えています。


一般大衆の代弁者


それでもなお、排外的な政策を主張し続けるのがトランプ候補者です。彼は、イスラム教徒や難民を米国に入れるなと、と声高に主張します。1人でも入国し、その彼がアメフトのスタジアムや、アイスホッケーのリンクで爆弾をしかけたらどうするのだ。ヨーロッパを見ろと、とけしかけます。

そんなトランプ氏に対して、民主党支持者らは「酷い」「正気か」などの声が上がっていますが、本心は分からない。こうした心配や不安について、誰も反論できないからです。誰も明確に「問題はない」と言えないのです。それをトランプ氏は「問題がある」と堂々と言うわけです。こんなこと、普通のリーダーには出来ない。


モスクを訪問するオバマ氏


そんな中、現職のオバマ大統領がモスクを訪問し、そこで演説を行いました。大騒動になりました。アメリカの兵士たちが中東やアフガニスタンで戦っている中、「モスクに行くなど、どんな神経をしているのか」「お前は、ひょっとしてイスラム教徒か」などと非難されています。

彼のお父さんがイスラム教徒だったことや、幼少期を過ごしたのがインドネシア(イスラム教は国教ではないが、9割以上がイスラム教徒)だったことなどから、彼にはイスラム教に対する特別な想いがあるのか。中東に対する弱腰外交の一つの要因は、彼の経験や信条に由来するのかもしれません。

いずれにせよ、選挙を控えたこの時期(2016年2月)にモスクを訪問するオバマ氏の行動は、共和党にとっては願ってもない追い風となりました。トランプ候補者は小躍りして喜んでいるでしょう。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年2月上旬号「大統領選挙と人種差別」−7