吉田の主張


しかし、アメリカ陣営に加入するための単独講和は、日本にアメリカ軍基地を置かせることと引き換えではないかと日本国民も野党も声高に吉田首相に迫った。この疑惑に答えるべく、吉田は、7月30日、衆院本会議で次のような発言をした。

「率直に言えば軍事基地は貸したくないと考えている。社会党がいうように単独講和と引き換えに基地を提供するような考えは毛頭もない。連合軍でも日本の四つの島に基地を要求するような気持ちはないと信ずる」

この吉田発言は、吉田が「老獪に言明を避けている」のではなく、完全に嘘をついているのだ。



真相


吉田は、既に朝鮮戦争が始まる数カ月前、バターワース国務次官に「米軍基地を日本に置くことに賛成している」と伝えていたのだ。

ましてや、朝鮮戦争勃発の一カ月後、韓国軍は完敗し、全速力で敗走中、アメリカ援軍も北朝鮮軍に打ち破られ敗走している時、そしてこのアメリカ・韓国両軍がいまにも半島の南端から日本海へ突き落とされそうになっていたその時、衆議院での「基地は貸したくない」は、既成事実を隠す煙幕でしかない。


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迫り来る危機


1950年11月30日、トルーマン大統領は、定例記者会見で「アメリカ政府は、朝鮮の危機に対処するため、必要とあらば中国共産党軍に対して原子爆弾を使用することも考えている」と言明した。

これは強烈な威しである。