blog191.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

国際基督教大学の建設によって「民主主義」と「キリスト教」を敗戦日本に打ち立てようとしている時に、1950(昭和25)年、朝鮮戦争が勃発。

国際状況はマッカーサーの非武装・非軍事化政策とは正反対に、アメリカとソ連の「東西対立」が決定的になる。

「共産主義」と「キリスト教」は共存することはできず、キリスト教文明にとって共産主義は嫌悪すべきものという時代に突入した。

『X論文』


1947(昭和22)年、米国国務省の政策企画室長を務めソ連分析の権威ジョージ・F・ケナン(George F. Kennan・1904〜2005)が、『フォーリン・アフェアーズ』に匿名で「ソヴェトの行動と源泉」(通称「X論文」)を投稿して、ソ連の危険性を警告した。

皮肉にも米ソの共通の敵であった「日本帝国」が崩壊したことで、米ソの関係に深い溝が生まれた。地政学的にも日本の領土であった朝鮮半島や台湾やアジアに生まれた「力の空白」をめぐり、両国の思惑が交錯していた。

ソ連は「潜在覇権国」として台頭し、ソ連の脅威が世界中に広がりを見せる。アメリカは「力の空白」であるヨーロッパと北東アジアで国益を確保するために、自らソ連と対峙せざるをえなくなり、世界を二極化する「冷戦」が始まった。

冷戦と大学


東欧諸国はソ連の共産主義拡張で征服され、4700万人のカトリック教徒は「鉄のカーテン」の内側に閉じ込められ、ローマ教皇庁は共産主義に対して憎悪を抱く。

1949(昭和24)年7月、教皇ピオ七世は、「共産党に加入したりする信者は破門する」と宣言。日本のキリスト教徒、特にカトリック信者は反共の態度を鮮明に示す。 マッカーサーもこの変化に敏感に反応し、「日本をキリスト教化することは、アジアを共産主義から救うためのスタート」であると発言した。

国際基督教大学財団の州議長となったウィリアム・L・クライトン(William L. Clayton)は、冷戦を「無宗教がキリスト教に対峙する世界戦争」であると述べる。

クライトンは、「キリスト教世界のリーダーとして、アメリカは重い責任と同時に、世界の未来を作り出す絶好の機会でもある。我々はまず冷戦に勝利しなくてはならない。国際基督教大学は、日本人をキリスト教徒に改宗させる旧来の宣教活動ではない。自由と信教の自由を尊重する」ためだと言明した。


ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
・新宗連調査室編『戦後宗教回想録』(PL出版社、1963年)
・X. 1947. "The Sources of Soviet Conduct." Foreign Affairs, Vol.25, No.4.
・Mearsheimer, John J. 2001. The Tragedy of Great Power Politics. New York: W.W. Norton & Company.
・"For a Christian Japan," The New York Times, 28 April 1949.
"Address of William L. Clayton at the Japan International Christian University Luncheon in Houston, Texas," 25 April 1950, William Lockhart Clayton Papers, Box 2, Hoover Institution Archives, Stanford University.