食料自給率


外務省とトーンが違ったのは農林水産省です。農林水産省は関税撤廃を原則とするTPP交渉にあっても、重要5品目を中心とした関税撤廃の例外を設けることに成功し、また関税割当の維持、セーフガードの確保、関税削減期間の長期化等についても合意を引き出しました。

しかし、「一部の品目については、生産者の経営に影響が及ぶのではないかとの懸念もある」との声明を発表しております。日本の2014年の食料自給率は39%です。人は食料がないと生きていけません。我々の生活の根底が脅かされていると言えるでしょう。

日本人の胃袋は、TPPにより外国にますます依存することになる。この数年間のうちに、食料自給率は20%くらいになるのではないか。


海外への依存は何をもたらすのか


譲ってはいけないことを、外国にやすやすと譲ってしまっている。外国からの食べ物に依存し始めて、仮に食料が高騰したらどうするのでしょう。いくらでもお金を払う必要が生じます。お金を出して飢餓を避ける世界となります。

これと似た状況が70年前の日本で起こりました。当時の日本は、日中戦争の最中であり、アメリカから鋼鉄と石油を大量に買っていました。戦争の必需品をアメリカに依存していたわけです。

時のルーズベルト大統領が、これらの物資を日本に売らないことを決断したとき、日本は愕然としました。その後の展開は火を見るように明らかです。日本は米国に戦争を挑み、真珠湾を攻撃した。


減反政策という愚行


この怖さを日本人は完全に忘れてしまいました。政府のお役人さんたちも、政治家の先生たちも理解できていないのではないか。

そもそも、なぜ自給率が40%まで下がってしまったのでしょうか。「お米を作らない」ことを選択すると、「お金をあげるよ」という政策を実行したからです。人をバカにした農業政策でした。これをなんと40年近くやっていたわけです。日本にあれだけあったたくさんの美しい段々畑も、日本の山々から消えました。美味しいお米を作る農家さんも、ごく少数となりました。若い人もほとんどいない。農業に携わっている人の平均年齢は70歳です。


8h3.jpg


そんな中、出てきたのがTPPでした。日本の食は、外国に完全に乗っ取られるでしょう。外国資本が日本の食料市場を席巻し、お金儲けのために平気で価格を上げたり、下げたりするでしょう。犠牲になるのは私たち日本人です。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年11月上旬号「TPPと世界経済」− 3