報復の連鎖


人間には「報腹心」や「復讐心」があります。無差別テロ攻撃などが一度起きると、そういった感情が一気に噴き出します。フランスは実際、テロが起きた2日後にはイスラム国の首都ラッカを爆撃しました。テロを絶対に許さない、という覚悟の表れと言ってよい。

しかし、この反撃により、今度はイスラム国側に報復と復讐の機会を与えることになった。この連鎖反応は延々と続くでしょう。フランスはどこまで耐えられるか。

フランスを哀れむ前に、テロ攻撃の背景を探ってみたい。


撤退の衝撃


その一つは、オバマ政権の愚行にあります。それはイラクからの米軍撤退でした。

大統領の決定を受け、米国防総省のプロ達はパニック状態に陥りました。「大統領、それだけはやめてください。今、引き上げるとそれぞれの派閥や部族が大喧嘩を起こします」、「無秩序状態になることは火を見るより明らかです」などと、大統領に対するが声が上がりました。しかしオバマ大統領は引き下がりませんでした。

その結果、非常に残忍で凶暴なテロリスト集団が台頭してきたわけです。この責任は重い。中東におけるアメリカのプレゼンスがはたしてきた役割を、オバマ大統領はいとも簡単に放棄したのです。タガが外れた中東では、蜘蛛の子を散らすようにテロリスト集団が活動を始めました。中東だけに留まらず、その集団はヨーロッパにも流入しました。


難民とテロリスト


ヨーロッパでは難民が非常に大きな問題になっていますが、その中には難民と共にやってきたテロリストがいると思われます。フランス同時多発テロの実行犯の中には、実際、シリアに滞在していた者もいると報道されています。


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日本人は「難民」という漢字を見ると、「可哀そうだから、なんとか助けてあげよう」と考える傾向があります。ところが、難民の中からテロリストを見分ける方法はありません。テレビを見ると、難民と言われる集団の中に、女の子やお母さんが赤ちゃんを抱えている姿が映し出されます。それで私たちの同情心が掻き立てられるわけです。

しかし、この映像は難民のごく一部であり、大多数の難民の姿を映したものとは言えない。難民たちのほとんどは若い男たちです。ほぼ全員が手ぶらの状態です。彼らはどこでご飯を食べ、水を飲み、寝ているのでしょうか。想像するとその過酷さがわかります。小さな子供や女性には無理です。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年11月下旬号「パリ同時多発テロ」− 2