アサド政権


「アラブの春」によって、中東の独裁者が次々と倒されました。しかし、シリアのアサド大統領は生き残った。

理由はプーチン大統領の存在だけではありません。そこにはアサド政権の徹底した戦い方があった。反対勢力を潰す勢いに躊躇はありませんでした。相手を殲滅するためであれば、毒ガスでも平気で使いました。国際的に批判されようがお構いなしです。

政権が死守する勢力範囲も狭めました。アサド大統領が暗殺される可能性はもちろんあります。しかし、その拠点は頑丈で、防御の面でも抜かりがない。その上、彼の後ろにはプーチン大統領が控えています。彼の第一子分がアサド大統領という感じでしょう。


フランスはどう動くのか


今回の同時多発テロは、規模についてはもちろん9.11と異なりますが、その構造においてはいくつも共通点があるように思います。フーヴァーレポートを聞いている人の中には、あのときの米国と同じように、フランスもまた対テロ戦争にのめり込んでいくのか、と考えている人もいると思います。

私はフランスによる対テロ戦争の可能性は高い、と考えています。そもそも、対テロ戦争を始めないとオランド政権自体がもたない。ここで強い姿勢を見せないと次の選挙で勝てないと思います。

フランスでは今、極右政党の「国民戦線」が大きな支持を集めています。党首のマリーヌ・ル・ペン氏は絶大な人気を誇っています。「私が言った通りでしょう。移民を受け入れるからです」と現政権を批判しています。


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マリーヌ・ル・ペン

戦いに終わりはあるのか


すでに対テロ戦争を行っているアメリカとの協力関係も重要なポイントです。

しかしアメリカの指揮官、オバマ大統領の評価は最低です。先日、ISISの拠点に50人ほどの特殊部隊を送りましたが、元軍人や元将軍クラスの人々はオバマ大統領の采配に苦笑している状況です。「50人規模の特殊部隊をあんなところに送ったら、全員殺されるだろう。なぜもっと送らないのか」、「オバマ大統領は戦争を理解していないのではないか」と批判されています。

もっとも米国が本気になれば話は違います。しかし、フランスとアメリカの共同作戦をいかに持続的に展開していくか。そして本当にISISを壊滅させることができるのか。こうしたことが問われています。アメリカは1990年から中東で戦っていますが、未だにその戦いに終止符を打つことが出来ない状況です。


西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年11月下旬号「パリ同時多発テロ」− 6