中国の野望


南シナ海の領有問題が注目された背景には、中国の経済力とアジア各国を圧倒するほどの軍事力があります。この海域に眠る膨大な量の天然資源を手にして、中国はさらなる成長を実現するつもりでしょう。


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中国はそのための第一歩として、南沙諸島を同国の海上要塞にしようと企んでいます。長い滑走路も建設し、戦闘機や爆撃機を配備する予定でしょう。アジア全土が出撃対象となります。

建設中の基地のちょうど真下には、海洋資源の採掘場があります。つまり中国は、資源の上に基地を建設しているわけです。資源を守り、採掘しながら、軍事的プレゼンスを高める。それが中国の狙いです。


中国包囲網に抜かりはないか


これに対抗するため、米国はアジア諸国と連携しながら、中国を包囲する政策、つまりは「中国包囲網」を作ろうとしている。経済面ではTPP(環太平洋パートナーシップ協定)によって、軍事面では集団的自衛権によって、中国を牽制しようと考えています。

しかし、アメリカは中国を本気で叩くつもりなのでしょうか。アメリカは自分たちの血を流しながら、アジア諸国を本当に守るのでしょうか。答えは、極めて疑わしい。中国指導部は、アメリカは軍事行動を起こすことが出来ない国、と知っているので今後もおそらくやりたい放題ではないか。


オバマ政権の評価


「米国には何も出来ない」とは、米国民の気持ちでもあります。オバマ大統領は、言葉では強気なことを言うが、行動が伴わない。彼は、国際紛争から一歩引いているイメージです。米国民も、結局彼は何もできない男だと判断しています。

ロシアにクリミア半島を取られ、ウクライナも取られ、中東であれだけの惨状が起きても、オバマ大統領は動きませんでした。対テロ戦のため、中東に送った兵士の数は50名でした。特殊部隊ではありますが、圧倒的に足りない。一発で殺されてしまうのではないか。

オバマ政権になり、アメリカの世界における軍事安全保障上のプレゼンスは地に堕ちたと言えるでしょう。外交なぞは弱腰外交で恥ずかしい。そんな中、出てきたのがトランプ氏でした。中国はオバマ政権のうちに何か既成事実を作ろうとして躍起になっている頃でしょう。




西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年12月上旬号「南シナ海の情勢」− 2