新幹線外交の失敗


南シナ海での日本利権を守るため、この地における日本のプレゼンスを高めることは極めて重要です。実際、安倍政権はアメリカの動きに合わせるように、南シナ海の周辺諸国との戦略的パートナーシップを結び、情報提供や政策協調を行っております。

しかし、協力を具体的に進める段階になると、日本人は非常に下手です。その様子は真面目過ぎると言ってよい。例えば、東南アジアのある国での新幹線の開発競争において、日本は中国に負けました。技術的にも、質的にも日本製の新幹線の方が圧倒的に上です。ところが、交渉は土壇場でひっくり返りました。金の力です。中国は、お金はすべて僕が出すよ、と言った。日本は、ローンを組んでね、と言った。違いは歴然です。

ただ同然で日本製の新幹線を他国で作るなんてスキームはないわけです。お金の用い方はきちんと定められているわけです。日本人はこれを忠実に守った。しかし、ルールをバカ正直に守ったため、大きな国益を失った。


遺恨


東南アジア諸国が、戦争のことを忘れるはずはない。もちろん日本は謝罪行脚をして、何度も謝っていますし、経済的な援助も相当な額になっているはずです。これはこれで続ける必要がある。

しかし歴史的な遺恨は、謝罪と経済援助だけで拭いきれるものではない。東南アジアの国々と、さらに踏み込んで本当に付き合えるお友達になろうという心構えが必要だと思います。

私は個人的には、日本に移民をドサッと呼び込むことに反対ですが、東南アジアの優れた学生たちには、例えば日本の学校に授業料無料で入れてあげるとか、そのような教育施策があって良いと考えています。


アジア出身の若者に注目せよ


それぞれの国で全国規模の試験を行い、トップ100人には日本の大学に授業料タダで入学させる、といった方策です。成績が良かったら、4年間無料にしても良い。これを行うのに、そんなにお金はかからないでしょう。

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東南アジア諸国の優秀な学生たちが、ある種、特待留学生として日本で学び、卒業する。そうすれば、その学生は日本を絶対好きになるでしょう。日本に来た外国人で日本嫌いになった人は非常に少ない。


現在における日本の留学生政策は大きな過ちを犯しています。「たくさん来てください」と言いつつ、お金を出しません。東南アジアの優秀な学生たちは日本でアルバイト三昧です。真面目な学生もいるでしょうが、生活費が高すぎて暮らすことさえままならない。だから、日本留学を諦めて、他に行きます。

東南アジアの将来のリーダーを親日にする。そのために何をすべきか。こうした発想が、今の日本外交に欠けているのではないか。




西鋭夫のフーヴァーレポート

2015年12月上旬号「南シナ海の情勢」− 5