容赦ない教育


住んでいる地域がお金持ちか否かで学校の質が変わると話しましたが、変わらないこともあります。それは教育の厳しさです。

日本ではほとんど知られていませんが、アメリカの高校を卒業するというのは、実は非常に重要な通過点として認識されています。高校の卒業式は、大学のものとは比べものにならないほどのお祭りです。それほど厳しく、生徒たちは学び、競争して、最終試験をパスしていくわけです。

南部には貧しい地域が多くありますが、その中でも高校を卒業すると社会から一目置かれます。高校卒業はそれだけの価値があります。


深刻化する失業率


しかし、アメリカ社会の問題は、高校を卒業した後にもあります。それは就業をめぐる問題です。大学を出た学生でさえ、大変なご苦労をされている状態です。

2016年現在、日本の失業率は2.5%ほどだと思いますが、アメリカは5.6%と言われています。日本の倍ほどありますが、この数値を簡単に信じてはいけません。実際はこれより3倍多いと言われている。すなわち15~6%あるだろうと。就職活動を止めると、その人たちは統計に反映されなくなります。40〜50歳代で、働きたくとも働かず、諦めてしまう人たちがアメリカ社会にはワサッといます。

日本でもそうですが、大学を出ていようが出ていまいが、50歳になるとそれまでもらっていた給料に見合うような就職はほぼありません。正規雇用はなく、ほとんどが非正規雇用でしょう。3〜4年勤めた後は首を切られます。


アメリカ型就活


米国の就活は、特定の時期が来たら一気に始まる日本型ではありません。アメリカでは、24時間、1年中、いつでも就活ができます。日本人が想像する「就職活動」というものはありません。

スタンフォードのような有名校になりますと、会社が雇いたいので、会社側からインタビューにやってきます。私もワシントン大学時代、ニューヨークの広告代理店ジェイ・ウォルター・トンプソンという会社からインタビューを受けました。そこの人事部長が大学にやってきたのです。それで就職が決まりました。


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ワシントン大学


日本のように、春先に皆さんスーツを着て、企業訪問したり説明会に出たりする習慣はありません。これは、会社にとっても、学生自身にとっても、大いなる時間のロスです。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年1月上旬号「アメリカの貧困」− 4