教育格差


教育にどれだけお金をかけることができるのか。ここでも大きな格差が生じています。アメリカの大学の授業料は、日本と比べて非常に高い。2015年の平均授業料は、地元にある州立大学に通うと年間約1万9,000ドルで、日本円で約225万円です。私立大学の場合は、年間約4万2,000ドルで、日本円で約500万円です。しかも授業料は年々上昇しております。

スタンフォード大学の年間の授業料は700万円です。ハーバード大学も同じくらいだと思います。米国のトップ10の名門校は全てが700万円以上という状況です。小規模のリベラルアーツカレッジといった大学も高い。しかしそこでは、普通のクラスが多くて10人ぐらいです。大規模クラスなど全くありません。3、4年時のクラスでは、先生1人に対して、学生数は3、4人が当たり前という状態です。


80兆円の学生ローン


年間数百万円といった大金を、授業料として払うことができる家庭は全米でも超がつくほどの裕福層です。年収が1000万円ぐらいでも到底払えない。そんな世界です。

では、多くの学生たちはどのように名門校で学ぶのか。学生ローンというものがあります。教育のために借金できるシステムです。今その金額が、おそらく円にすると、70兆から80兆円あるのではないか、と言われています。

なぜそんなに膨らんだのか。理由は簡単です。借金を返すことが出来ないのです。この学生ローンは数年前に出来た制度ですが、そこでは学生は自己破産を申告することが出来ません。出来ないように設計されたのです。すなわち、借りたお金は、必ず返さなければいけない。


米高等教育の裏側


この制度は現在、米国社会で大問題になっています。一般の人は破産宣言が出来て、借金をチャラにすることが出来ます。あのトランプ氏でさえ、すでに3〜4回、個人破産を経験しています。

ところが勉強しようと思って大学に進学し、お金が足りないので、学生ローンを組んだら最後。頑張って卒業して、就職がなかったら、絶対に返せない。500万円借りたとしますね。優秀な人でも、就職出来たとして、年収はいって500〜700万円でしょう。その中から少しずつ払っても間に合いません。利子はどんどんと重くなり、雪だるま式に額が増えていきます。


11h5.jpg


米国にはたくさんの奨学金制度があります。しかし、そうした奨学金をもらえる人はまだまだ極少数の超優秀な学生だけです。奨学金を得ることができず、米国の有名校で勉強しようと思ったら学生ローンを組むしかない。しかし、その借金をまともに返すことができる人は限られているのが現状です。



西鋭夫のフーヴァーレポート

2016年1月上旬号「アメリカの貧困」− 5