blog206.jpgFrom: 岡崎 匡史
研究室より

イギリスの物理学者アイザック・ニュートン(Isaac Newton・1642〜1727)。

ケンブリッジ大学の教授を務めたニュートンは、物理学者・天文学者・数学者の顔を持つ。「万有引力の法則」をはじめ、「微分積分法」や「光の分析」など、天才ニュートンの業績は燦然と輝く。

しかし、ニュートンの業績は、これだけに留まらない。ニュートンは、経済政策にも影響を与えており、イギリスの造幣局長官としても辣腕を振るった。

コイン鋳造改革


ニュートンは、イギリス通貨を改革したことでも知られる。

手始めに、良質の銀貨を鋳造する体制を整える。そして、銀貨に工夫を施す。どうな智恵を絞ったのか?

それは、コインの縁にギザギザを付けた。銀貨の縁にギザギザを付けることで、削り取りを防止したのである。(ちなみに、昭和26年から昭和33年にかけて発行された日本の10円硬化には、ギザギザの溝が掘られている。「ギザ十」と呼ばれる。)

ニュートンは、イギリスの銀不足を少しでも補おうとしていた。

なぜ、銀が減少していたのか。イギリスでは、紅茶が大人気。中国から茶葉を輸入しすぎて、紅茶の代金を支払う「銀」を欠いたからである。

ニュートン比価


イギリスは中国(清)との貿易で、銀流出が止まらない。銀貨の鋳造を創意工夫しても焼け石に水。

造幣局長官のニュートンは、銀の海外流出を防ぐため、経済システムの根本的な変革を提案。「金」を基準にする新たな通貨システム「金本位制」を提唱した。

ニュートンは、「ギニー金貨」を標準金貨として、金と銀の交換比率を1対15.21(ニュートン比価)と定めた。

ギニー金貨は、21シリング。この中途半端な数値の基準が、イギリスで100年ほど流通した。そして、1817年に1ポンド(16オンス・0.454キログラム)の「ソブリン金貨」が流通しだす。

ニュートンが「金本位」を打ち出したことで、イギリスが中国に対抗して独自の経済圏を形成する契機となり、大英帝国イギリスが築かれていった。


ー岡崎 匡史

PS. 以下の文献を参考にしました。
・レベッカ・ゾラック & マイケル・W・フィリップス・ジュニア『金の文化史』(原書房、2016年)
・宮崎正勝『ユダヤ商人と貨幣・金融の世界史』(原書房、2019年)